へのへのかかし日記

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大村友貴美 前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理

2013年03月17日 20時19分03秒 | 読書

大村友貴美∥前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理 を読みました。

 大村友貴美が作風を変えてきました。新境地の開拓なのか、これまでのやり方に行き詰ったのか・・・

 自分の前世を知るゲイバーのママを狂言廻しとして、前世の記憶を持っている登場人物たちの物語が展開される短編集です。5編の短編が収められていますが、いずれも小ぶりな短編で、気軽に1冊読むことができます。この中の1作目、「キサブロー、帰る」は、初出は「デジタル野性時代」ということになっていますが、そもそもは、東日本大震災の復興のためにお県内の作家がアンソロジーを出版するときに大村友貴美が書いた短編です。その着想で1冊書き上げたということですね。

 作風の変更、今回は成功と見ます。前世の記憶を中心に話を進めるというのはなかなかない着想で、ストーリーを立体的、躍動的に展開することができますから(高橋克彦の『緋い記憶』を思い出しましたが)。特に、第2編の「ロスト・ヴィレッジ」はスリリングな展開でクライマックスの迫力も十分で短編ミステリーとしてなかなかのものだと思います。このテンションがその後の作で続かないのがちょっと残念ですが。

 これまでの作品では、文章や文体にやや難があるように感じていたのですが、この作品ではかなり良くなっている印象です。まあ、軽い感じの作品なので文章を運びやすいということはあるのでしょうけれども。どうやら、プロの書き手として拠って立つところを確保したかな、と感じます。

 ただ、本作は、大村友貴美としてはちょっとした余技というところでしょう。この作のパターンはそれほど長続きするとは思えないので、この調子でシリーズ化というわけにはいかないでしょう。次は元の作風に戻るのかもしれません。

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