■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■2月月例ネット句会/入賞発表

2022-02-14 01:29:04 | 日記
■2022年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年2月13日
【金賞】
8.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
「裸木や白壁に影立たせおり」とすれば、さらに意味が通りやすくなると思う。「影立たせ」が秀逸で、白壁に映った影が、影でありながら、再び、立ち上がっている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
普段家庭ではさつま芋を入れた粥も芋粥と言われるが、俳句では、自然薯を入れて炊いた粥のこと。貴重な自然薯が手に入り、やらわかく粥に炊いて、仏前の母に供えた。母への行き届いた思いの句。(髙橋正子)

19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
寒林を歩くと水音が身に添ってくる。思えば母の忌日である。いつの間にか、母といるような透明な感覚に襲われる。言葉にし得ない母への思い。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
13.妻と見る高層階から春空を/高橋秀之
妻と上がった高層のビルから向こうの春空や、さらに高い、さらに遠くの春の空が見える。春の空のような、さり気ない夫婦の会話が聞こえそう。(髙橋正子)

31.桜餅薄い桃色一列に/髙橋句美子
塩漬けの桜の葉に包まれた薄い桃色の桜餅は、季節菓子の中でも特に春らしいもの。季節になれば、たくさん並べて売られる。一列に並べられることもある。菓子舗の店先があかるく彩られ、楽しい季節になる。(髙橋正子)

36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
紅梅が固い莟のときは、紅が濃い。ふくらんでいく程にやわらかな淡い色になっていく。莟がふくらむように、心もふくらんでくる。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日/髙橋正子
今日から春。立春寒波で寒い春の初日でした。からりと揚がった熱々の天ぷらが美味しそうです。揚げたてをいただきましょう。 (多田有花)
 
26.青空に枝きらきらと雪のあと/髙橋正子
「雪のあと」の表現に魅かれた。積った雪がきらきら光るのは当然のことであり、誰もが表現する。水気を含み溶けかけて、それでも雪の形を枝に残している姿を表現しているのだと思う。青空と溶けかけた雪の光の表現に魅力を感じた。(吉田晃)
青空を見上げると、枝に残る雪に日の光が反射してきらきらしている。これからの暖かい未来を示している様子が春遠からずを感じさせてくれます。(高橋秀之) 

16.九十三義兄の自筆の賀状来る/祝 恵子
九十三歳という高齢であるのに、自筆で賀状を書く気力と律義さは、素晴らしい。年齢よりずっと若い意識でおられるのだろう。(髙橋正子)

10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
18.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子 
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと/髙橋正子

【髙橋正子特選/7句】
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
春の喜びを感じ、日々のふくらみを心待ちにされている。静かな希望に満ちた優しい句ですね。(柳原美知子)

37.梅が咲きあかるい朝となっている/髙橋信之
梅の花が咲いた。きびしい冬とも別れ、いよいよ春となる喜びが、梅が咲く朝を「あかるい」と捉えさせた。(髙橋正子)

10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
13.妻と見る高層階から春空を/高橋秀之
18.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
31.桜餅薄い桃色一列に/髙橋句美子

【入選/17句】
01.春雪の晴れて舞いたる風の空/桑本栄太郎
寒波が押し寄せると太平洋側にもその余波の雪がもたらされます。日本海側の豪雪とは違いすぐに溶けてしまう淡雪であることがほとんど。青空の下を雪片が舞うこともあります。 (多田有花)

05.まんさくや川風ほのと温みける/小口泰與
まんさくの花にほんのり温もりを感じ、一足早く春の訪れに気づきます。 (西村友宏)

07.往年のスターと語らう春の夢/多田有花
昔から「春の夢と言って、はかない事のたとえに言われているが、夢の中のあこがれたスターと語っている青春時代の作者が居る。素晴らしい夢の世界ですね。(小口泰與)

20.蜜柑色のジャム煮る匂い春立てり/柳原美知子
爽やかでみずみずしい香りが春のようです。 (髙橋句美子)

24.お守りを内ポケットに大試験/西村友宏
大学受験でしょう。学問の神様天満宮のお守りでしょうか。やることはやってきた、あとは本番で実力を発揮するのみですね。 (多田有花)

28.寒明けやくるくる変はる空模様/廣田洋一
寒が明け立春を迎えれば「春に三日の晴間なし」とも云われ、空模様は猫の眼のように変わり易くなります。この季節の天候が直截に表現され、季節の変わり目が良く詠いあげられている。(桑本栄太郎)

30.初島の影くっきりと春の雪/廣田洋一
初島は相模湾に浮かぶ静岡県唯一の有人島。春の雪が舞う沖を眺めれば初島の影が黒く浮かんでいます。 (多田有花)

40.立春の川面膨らむ光かな/友田 修
立春の朝、川面に陽が差して水が膨らんでいるように見えると言う、いかにも春らしい景色。 (廣田洋一)

02.雲走り影の走りぬ春の嶺/桑本栄太郎
春の空と嶺。空に雲が走ると、山に雲の影が走る。春の嶺の景色が生きているように思える。(髙橋正子)

03.打ち寄するさざ波光る春の池/桑本栄太郎
春の池にもさざ波が打ちて寄せて光っている。のどかで、平和な春の景色。
(髙橋正子)

06.春灯や忽と鳴りたるメール音/小口泰與
しずかな春の灯の下にいると、メールの着信音が突然鳴る。夜のこの時間、何事かと、心が動く。春灯とメールの着信音の取り合せが、心を動かす。(髙橋正子)

11.榾積まれ春待つ畦のうす緑/吉田 晃
春の畦に榾が積まれている。この榾は、必要なときに家に持ち帰って火にくべられるのだろうが、冬の間の風雨にさらされた感じだ。春を待つ畦が萌え始めた。(髙橋正子)

12.春寒の鳥もう一羽が森を発つ/吉田 晃
春寒い森。見ていると森から一羽飛び発った。するともう一羽が思いついたように飛び発った。(髙橋正子)

15.木の先に新芽をふたつ見つけたり/高橋秀之
枯れ枝とばかり思っていた木に、新芽がふたつ見つかった。たった二つの新芽が愛おしい。(髙橋正子)

21.麦青む田にうすうすと夕日差す/柳原美知子
麦が少しずつ伸びて青々としてきた。夕日がうすうすと差し、青麦に夕焼けが薄く広がるように思えた。(髙橋正子)

32.朧月いつもの道に淡い光/髙橋句美子
いつも帰る道。今日は朧月が柔らかい光を投げかけ、いつもの道が淡い光に包まれている。朧夜の道。(髙橋正子)

41.垣根越しほのかに覗く梅の花/友田 修
垣根越しではあるけれど、ほのかに梅の花が覗いている。ちらっと見た梅の花に、春をむかえたばかりの快さがある。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋信之
38.朝の日があかるく窓に梅に差し
朝日が窓や梅にも明るく差してきた。今日も元気に過ごせそうですね。 (祝恵子)

37.梅が咲きあかるい朝となっている
39.桜咲く季節を待てば喜びも

■選者詠/髙橋正子
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日 
26.青空に枝きらきらと雪のあと  
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
26.青空に枝きらきらと雪のあと/髙橋正子
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
コメント (8)
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