■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■5月月例ネット句会入賞発表

2019-05-12 22:55:44 | 日記

■2019年5月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年5月12日

【金賞】
★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
詠まれた景色がすばらしい。近江富士は、三上山の愛称で、東海道新幹線の車窓からも眺められる。平野の中の独立峰は標高432mの低山。麦秋の野が広がる向こうに近江富士はなだらかな山稜をもって立っている。車窓が額縁になり、爽やかな麦秋の景色が楽しめる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★母偲び風炉の茶を立て供へけり/廣田洋一
もの静かな立ち居振る舞いの母の姿が思われる。風炉の茶となる夏の始めの軽やかさが、却って母をじみじみと思い起こさせる。(高橋正子)

★熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ/柳原美知子
麦が熟れる香、田水が流れる音。熟れ麦の香、水の音に近づきたくて、少し不自由な脚をゆっくりと、一歩ずつ進めて行く。麦秋の野が懐かしく詠まれている。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★一斉に変わる夏服中学生/高橋秀之
制服のある中学生。衣替えの季節になると、何月何日からと、一斉に衣替えする。それまでの黒い服から、真っ白なシャツになる。中学生の笑顔が見える見事で鮮やかな変身である。(高橋正子)

★藤の花見上げて歩くピクニック/髙橋句美子
ピクニックに出掛けた。山藤の花か。ここに見上げ、あそこに見上げて歩く。ピクニックの楽しさが、あっさりと詠まれている。(高橋正子)

【高橋信之特選/6句】
★天道虫見つけ嬉しや朝歩き/祝恵子
朝の散歩で見つけた天道虫。ただそれだけで嬉しい。日常のひとこまに生きる喜びを感じます。 (高橋秀之)

★窓若葉素焼きのカップに絵付けの黄/柳原美知子
一心に絵付けをしているところに、若葉風がそっと通り過ぎていきます。(祝恵子)

★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
★母偲び風炉の茶を立て供へけり/廣田洋一
★裏町の花屋も母の日カーネーション/高橋正子
★36.熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ/柳原美知子

【高橋正子特選/6句】
★手伝いの孫の背高しトマト苗/祝恵子
小学校高学年から中学生にかけてはぐんと背の伸びるときです。いつの間にかご自身の背丈を超えたお孫さんを見上げられ、その成長をたのもしくうれしく思っておられる様子がわかります。 (多田有花)

★藤の花見上げて歩くピクニック/髙橋句美子
晩春から初夏に移って行くころは藤の花が咲きそろいます。郊外へピクニックに出かければ、野生の藤が高木をよじのぼって高い枝先から藤色の花房を垂らしているのが見られます。 (多田有花)

★一斉に変わる夏服中学生/高橋秀之
私が通っていた中学校では、6月1日から夏服に変わり、色も霜降りになった。制服が少なくなった今でも、衣更えになると中学生は一斉に夏服に替える。夏到来を衣更えで表現されている。(廣田洋一)

★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
★母偲び風炉の茶を立て供へけり/廣田洋一
★熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ/柳原美知子

【入選14句】
★夏川をジープ疾走蒼き空
夏らしくて躍動感を感じる句です。蒼き空が清々しいです。 (髙橋句美子)

★煽らるる白き葉裏や若葉/桑本栄太郎
初夏になり、若葉が街を明るくしている。そんな時に少し気温が下がり風も強く若葉が葉裏を見せている。若葉風の季語が効いている。 (廣田洋一)

★初夏や苗並べ配置決めてゆく/祝恵子
野菜の苗を植える時、苗は等間隔に植えてゆく。間隔が狭すぎて広すぎてもうまく育たない。 (古田敬二)

★赤々とレッドロビンの若葉萌ゆ/多田有花
レッドロビンとは、ベニカナメモチとオオカナメモチの交配された園芸種である。真っ赤な燃えるような若葉が特徴であり、如何にも活力を覚える。近年生垣用として重宝され、遠くから見ればその真紅は何の花か?と思う程鮮やかである。(桑本栄太郎)

★牡丹咲く上野の山の晴れ渡り/廣田洋一
華やかに咲きそろった牡丹、その背後には晴れた五月の上野の山の景色があります。明るく清々しく、一点の曇りも無い素晴らしい一日の様子が浮かびます。 (多田有花)

★ランナーが逆さに走る池若葉/古田敬二
池に映る若葉の緑も美しく、水面の光に揺れるランナーの姿にも初夏の清々しさが感じられます。(柳原美知子)

★初蛙声する方に大きな沼/髙橋句美子
初蛙の鳴き声を聞きとめ、なにげなく通りすぎていた所に見つけた大きな沼。生き物への温かい視線に視界が広がっていきます。(柳原美知子)

★渓谷の空あおあおと苔清水/小口泰與
★新緑をより鮮やかに陽の光/高橋秀之
★新緑のなかに佇みオーベルジュ/多田有花
★葭切の騒ぎしあとの池静か/古田敬二
★牧水の歌碑校庭に五月来る/古田敬二
★球児らの声高鳴りて夏近し/西村友宏
★駅出れば旧知の友と初夏の風/西村友宏

■選者詠/高橋信之
★今日がありまた明日あると花蜜柑
花蜜柑の清々しい香りと可憐な白い花に出会い、初夏の明るい季節の喜びが感じられます。やがて青い実をつけ、蜜柑色のみのり、瀬戸内の海も想いだされる花蜜柑です。 (柳原美知子)

★夏朝日たしかな朝のよころびに
★くしゃみすることもわが夏の生活

■選者詠/高橋正子
★夕空の青く高かり風の薔薇
濃艶な花の姿を愛賞され、春秋に咲くもの、四季とともに咲くもの、色も形も多種多様で青空に映え、風によって甘い芳香も愛される素晴らしい花ですね。 (小口泰與)
風があってやや寒い日という印象を受けます。日が最も長い時期に入り、青空が長く残ります。その夕空の中に美しく咲いた薔薇の高貴な美しさが光ります。 (多田有花)

★裏町の花屋も母の日カーネーション
人通りの少ない裏町の花屋さんにもカーネーションの鉢や切り花が並び、母の日の華やぎに包まれて、ふと立ち寄ってみたくなります。(柳原美知子)

★路筋に薔薇のあふるる三丁目

■互選高点句
●最高点(6点)
★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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5月月例ネット句会/清記

2019-05-12 16:48:53 | 日記

■5月月例ネット句清記
2019年5月12日
12名35句

01.毛の国の馬総立ちす日雷
02.夏川をジープ疾走蒼き空
03.渓谷の空あおあおと苔清水
04.麦秋の車窓となりぬ近江富士
05.見晴るかす車窓一望麦の秋
06.煽らるる白き葉裏や若葉寒
07.夏の大空の下カッター漕ぐ
08.一斉に変わる夏服中学生
09.新緑をより鮮やかに陽の光
10.天道虫見つけ嬉しや朝歩き

11.初夏や苗並べ配置決めてゆく
12.手伝いの孫の背高しトマト苗
13.赤々とレッドロビンの若葉萌ゆ
14.新緑のなかに佇みオーベルジュ
15.翌日は姿の消えし牡丹かな
16.葭切の騒ぎしあとの池静か
17.牧水の歌碑校庭に五月来る
18.ランナーが逆さに走る池若葉
19.球児らの声高鳴りて夏近し

21.駅出れば旧知の友と初夏の風
22.牡丹咲く上野の山の晴れ渡り
23.ユリノキの花黄色き袴着て咲きぬ
24.母偲び風炉の茶を立て供へけり
25.夕空の青く高かり風の薔薇
26.路筋に薔薇のあふるる三丁目
27.裏町の花屋も母の日カーネーション
28.今日がありまた明日あると花蜜柑
29.夏朝日たしかな朝のよころびに
30.くしゃみすることもわが夏の生活

31.藤の花見上げて歩くピクニック
32.初蛙声する方に大きな沼
33.東京眼下へ鶯の歌ひびき
34.麦熟れつつけぶる令和の雨後の空
35.窓若葉素焼きのカップに絵付けの黄
36.熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。
コメント (9)
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