俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

2月28日(火)

2012-02-28 02:39:50 | Weblog
 神奈川宿
★梅の香を息に吸い込みあるきけり   正子
冬も終わりやっと咲き始めた梅。その梅のふくよかな香りが仄かに漂って来る。自然に息一杯に空気を吸い込みたくなる。梅の咲く辺りの空気とそして身体全体に春到来の喜びをかみしめながら歩いておられる爽やかさが伝わって参ります。 (佃 康水)

○今日の俳句
牛鳴いてサイロの丘に草萌ゆる/佃 康水
サイロのある丘に草が萌え、牛の鳴き声ものどかに聞こえる。あかるい風景がのびやかに詠まれている。(高橋正子)

○浅蜊
★浅蜊に水いっぱい張って熟睡す/菖蒲あや

淡水の多少混じった砂泥の浅海に埋没して棲息する二枚貝。潮干狩の最たる獲物である。川が流れ込む砂浜で、浅蜊はよく取れる。今は春に限らず、養殖の浅蜊が手に入り、砂出しの必要もないものが多くなった。我が家でもよく食べる貝で、一番好きなのは浅蜊のお汁。食べた後の殻はきれいに洗って乾かし、小布でくるんで遊んだことがある。中学生のときに、多摩美大から教生の先生が来られて、貝殻をデザインする授業だったが、熱心に描いた。教頭先生のご子息で、詰襟姿で教壇に立たれたが、本当の美術って、こんなのかなと中学生に思わせてくれた。
小学2,3年の頃だったと思う。近所の人たちが数キロ先に浮かぶ無人島に浅蜊掘りに行くのに誘われた。この島は源平合戦のとき、義経が矢を放って浮き流れているのを射とめてその位置にとどまったという島で「矢の島」と呼ばれて、お椀を伏せたようなごく小さい島である。無人島なので、もちろん桟橋や舟着き場などない。小舟を砂浜に寄せて海水を歩いて島に上がる。子供の私には浅蜊はほとんど採れなかったと思うが、それはまだよい。帰るときその島に独りおいてきぼりにされかかったのだ。誰かが気付いて舟に乗せてくれた。海の水の緑ふかい青さと島の緑が異様に恐ろしく思えた。
松山にいたころは、海辺に出かけて何気なく砂を掘ると小さな浅蜊を見つけることがあった。少し拾って、夜は申し訳程度の浅蜊汁にしたが、けっこう楽しいことである。

★浅蜊貝模様さまざま波に似て/高橋正子

◇生活する花たち「椿・梅の落花・モモザ」(横浜日吉本町)

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1 コメント

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お礼・俳句鑑賞 (佃 康水)
2012-02-23 11:17:27
(お礼)
高橋信之先生 正子先生
「今日の俳句」に「牛鳴いてサイロの丘に草萌ゆる」の句をお取上げいただき、大変嬉しい句評も賜り心より感謝申上げます。

(俳句鑑賞)
 ★梅の香を息に吸い込みあるきけり  正子

冬も終わりやっと咲き始めた梅。その梅のふくよかな香りが仄かに漂って来る。自然に息一杯に空気を吸い込みたくなる。梅の咲く辺りの空気とそして身体全体に春到来の喜びをかみしめながら歩いておられる爽やかさが伝わって参ります。
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