俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

9月19日(水)

2012-09-19 15:08:56 | Weblog
●イギリス・俳句の旅第1日/2011年9月19日●


[ロンドンヒースロー空港] 
離陸中のヴァージン・アトランティック
航空ボーイング747-400型機

  ヴァージン・アトランティック航空機にて成田出発
 アテンダントの眸は水色よ秋の旅

  ロンドン・ヒースロー空港へ降下
 ロンドンアイ翼下に入れて秋晴るる

  チェスターのホテルへと高速道路をはしる 300kmほど
 薄紅葉ウィンザー城を浮かばせり
 九月の牧羊ら遠く草を食む
 やわらかき羊散らばる秋の牧
 行けど行けど九月の牧の草青し


  サービスエリア
 イギリスの地上に買いし林檎とジュース

  ホテル
 窓枠の白きホテルに秋の草
 木の実赤し今夜のホテルの二階建て
 牧草の秋の匂いか黄昏れぬ


 出国
 2011年9月19日朝7時前、イギリス俳句の旅へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。
 午前11時30分成田空港発のヴァージン・アトランティック航空0901便でロンドンへ発つ。アテンダントの制服は真赤なスーツ。金髪と水色の目が引き立つ。乗る早々機長のクリスピーな英語と、アテンダントの切れ目のない英語に、いささか驚く。12時間ほどの旅を快適にするために、句美子が、エアクッションとネックピローを用意してくれたのと、座席の羽毛クッションのおかげで、乗り物酔いにもならず、よく眠れて、時差ぼけもなくヒースローの空港に着いた。
 宿泊は、ロンドンから北へ314km離れたチェスターのホテル。リヴァプールの近くです。翌日からの行動効率を考えて、できるだけ近くに泊ることになった。

▼チェスター:
http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html

▽電子書籍「イギリス俳句の旅」
http://kakan.info/01/c/eng2011/

●去年の今日の日、9月19日にはイギリスへ旅立った。今日は、沖縄を襲った台風16号の影響か、昨夜から雨が降っている。イギリス旅行も1年前となった。今年はロンドン五輪があって、去年の旅行がよりリアルに蘇った。外国旅行で経験したいことは、その土地の空気感がある。温度、湿度、風の吹き方、空の広さ、高さ、立体的な花、立体的な鳥。映像では、どんなに高度な映像でも、奥行きや質感は感じにくい。イギリスの旅は、バージンアトランティック航空のアテンダントたちの赤い制服とブルーのひとみから始まった。今日から、一週間ばかり、イギリス旅行を振り返りたい。

○ヒースローに到着したのは、夕方4時ごろ。この時間帯はヒースロー空港に、中東からの到着便が多く、パスポートの検査などが特に念入りにされる。入国手続きにうんざりするほど時間がかかった。やっと空港を出て道を走り出すと、のどかな牧場がどこまでも続いて、羊が草を食んでいる。ウールの国である。ウィンザー城を通り過ぎ、チェスターへと走る道には、実際煙の出ている煙突のある家もあった。道脇には、なにか知らない、木の実がたくさん熟れていた。森に木の実とりにゆく小説などの場面が浮かんだ。イギリスなのだと思った。

宿泊第1日目は、ヒースローから300キロほどあるチェスター郊外の、ホテルに泊まった。ホテルではなく「イン」というべきだろう。13時間の空の旅をして、すぐにバスで300キロ走らねばならない。ドイツ旅行の時を思い出して、体調がもつだろうか心配であった。ドイツに行ったときは、ルフトハンザのビジネスクラスで行ったのだけれど、5年生の息子と1年生の娘を連れていて、息子は機内で発熱してしまい(フランクフルトに着いたときは、熱も引いたが)、二人の体調が気になって、ほとんど眠ることもできず、ちょっと苦しい思いをした。そういうことがあって心配だったが、杞憂に終わった。宿は道路脇にあって、2階建てのこじんまりした宿で清潔で静かだった。朝起きて、外に出ると、露がおりて、厩舎のような匂いがする。牧場が近くにあるらしい。野菊のような草花もあった。野の草が可憐である。赤い薔薇もきれいなままだった。


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★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
整然と稔る稲の穂がふいと起こる風に煽られて賑やかに騒ぎ立てる。収穫前の豊かな田の風景が浮かび上がります。 (小西 宏)

○今日の俳句
風入れる窓に虫の音混じり来る/小西 宏
窓の風に混じって聞こえる虫の声は、心地よく聞こえる。しかし、聞いているとどこか淋しい気持ちが湧く。秋という季節のせいだろうか。(高橋正子)

◇生活する花たち「葛の花・秋桜・酔芙蓉」(横浜四季の森公園)


コメント
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