俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

9月10日(月)

2012-09-10 06:28:07 | Weblog
★赤とんぼいくらでもくる高さなり  正子
昔、赤とんぼが群れ飛ぶ光景をよく見ました。人なつっこく近づいてきて、目の高さぐらいを飛んでいました。近頃は、数が少なくなってきたように思います。秋空の下、田園風景の広がる田舎の道に、赤とんぼがつぎつぎ飛んでくる景を、懐かしく思い出させていただきました。(藤田裕子)

○今日の俳句
ちちろ鳴く裏庭の夜の澄みてきし/藤田裕子
静かな裏庭にちちろが鳴くと、夜が澄んでくる感じがする。夜が澄んでくると、ちちろがいっそう声高く鳴く。研ぎ澄まされてゆく秋の夜である。(高橋正子)

○第16回(結婚祝い)フェイスブック句会
▼2012年9月9日入賞発表!
【金賞】
★朝の田に光こぼしつ赤とんぼ/柳原美知子
朝の赤とんぼは、ことにきらきらと輝いている。「光こぼし」は的確な描写。朝の田の清々しさと、生き生きと飛ぶ赤とんぼが目に明らかだ。(高橋正子)

▼その他の入賞作品は、
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d
▼句会場のfacebookページ「インターネット俳句センター」は、
http://www.facebook.com/kakan02

○虎杖の花

[虎杖の花/東京・向島百花園]

★虎杖の花昼の月ありやなしや/高浜虚子
虎杖の花が咲いている。空を見上げると、昼の月がうっすらと、あるかないかのように懸っている。春の虎杖、夜の月に比べ、夏の虎杖の花、昼の月はともに存在が似て、通じ合っている。(高橋正子)

虎杖の花は、初夏からところによって初秋まで咲いている。春の虎杖は茎に紅色の斑があり、食べることもでき、折るとポキッと音がする。俳句や絵の材料として取り上げられることも多いが、夏旺盛に葉が茂るものの、花は目立たない。しかし、なんとなく、春の赤い斑のある茎を思い出して、句に詠んでみたくなる。

 イタドリ(虎杖、痛取、Fallopia japonica)とは、タデ科の多年生植物。別名は、スカンポ、イタンポ、ドングイ。ただし、茎を折るとポコッと音が鳴り、食べると酸味があることから、スイバをスカンポと呼ぶ地方もある。茎は中空で多数の節があり、その構造はやや竹に似ている。三角状の葉を交互につけ、特に若いうちは葉に赤い斑紋が出る。雌雄異株で、雄花はおしべが花弁の間から飛び出すように長く発達しており、雌花はめしべよりも花弁の方が大きい。夏には、白か赤みを帯びた小さな花を多数着けた花序を出す。花の色が特に赤みを帯びたものは、ベニイタドリ(メイゲツソウ)と呼ばれ、本種の亜種として扱われる。秋に熟す種子には3枚の翼があり、風によって散布される。そして春に芽吹いた種子は地下茎を伸ばし、群落を形成して一気に生長する。路傍や荒地までさまざまな場所に生育でき、肥沃な土地では高さ2メートルほどまでになる。やや湿ったところを好み、また、攪乱を受けた場所によく出現する先駆植物である。谷間の崖崩れ跡などはよく集まって繁茂している。これは太く強靭で、生長の早い地下茎によるところが大きい。
 北海道西部以南の日本、台湾、朝鮮半島、中国に分布する東アジア原産種。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。19世紀に観賞用としてイギリスに輸出され、旺盛な繁殖力から在来種の植生を脅かす外来種となり、コンクリートやアスファルトを突き破るなどの被害が出ている。2010年3月、イギリス政府はイタドリの駆除のために、天敵の「イタドリマダラキジラミ」を輸入することを決める。
 若い茎は柔らかく、山菜として食べられる。茎や葉が分かれる前の、タケノコのような姿のものを折って採取し、皮をむいて使用する。生でも食べられ、かつては子供が道草途中に囓っていた。有機酸を多く含むため酸味があるが、その中にはシュウ酸も含まれるため、多少のえぐみもあり、そのまま大量摂取すると健康への悪影響も考えられる。そのため、山菜として本格的に利用するときには茹でて水にさらし、あく抜きするが、そうするとさわやかな酸味も失われてしまう。高知県では、苦汁や苦汁成分を含んだあら塩でもみ、こうすると、苦汁に含まれるマグネシウムイオンとシュウ酸イオンが結合し、不溶性のシュウ酸マグネシウムとなる。その結果、シュウ酸以外の有機酸は残したままシュウ酸だけ除去することができる。春頃の新芽は食用になる。皮を剥ぎ、塩もみをして炒め、砂糖、醤油、酒、みりん、ごま油等で味付けし、鰹節を振りかける。主に食用にしているのは高知県であるが、和歌山県や三重県南部でも「ゴンパチ」と称して、兵庫県南但では「だんじ」と称して食用する。新芽を湯がいて冷水に晒し、麺つゆと一味唐辛子の出汁に半日ほど漬ける。ジュンサイのようなツルツルとした食感がある。秋田県では「さしぼ」と呼び水煮にして味噌汁の具に使ったりする。 岡山県では「さいじんこ」、「しゃじなっぽ」などと呼ぶ。

 昔の子供の遊びとして、イタドリ水車がある。切り取った茎の両端に切り込みを入れてしばらく水に晒しておくとたこさんウィンナーのように外側に反る。中空の茎に木の枝や割り箸を入れて流水に置くと、水車のようにくるくる回る。一面に花が咲いていると、多くの昆虫が集まる。秋に昆虫が集まる花の代表的なものである。また、冬には枯れた茎の中の空洞をアリなどが冬眠用の部屋として利用しているのが見られる。イタドリハムシは、成虫も幼虫もイタドリの葉を食べる。


◇生活する花たち「藻の花・萩・百日紅」(鎌倉・宝戒寺)

コメント (1)
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