俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

6月19日(火)

2012-06-19 12:56:38 | Weblog
★青梅と氷砂糖と瓶に透け/高橋正子
今年もころころとした青梅が出回る頃となりました。梅酒を漬ける季節です。透きとおった瓶にきれいに洗って、水分を拭きとった青梅と氷砂糖を交互に入れ、焼酎を注げば、あとは時々瓶を揺りうごかし、出来上がりを待つばかり。梅の青さと氷砂糖の白が、透明な瓶によくうつり涼しげです。 (小川和子)

○今日の俳句
青葉冷え鉱泉の湯気湧きのぼる/小川和子
青葉の中に勢いのある鉱泉の湯気が立ち上って、自然の力の大きさを感じる。「青葉冷え」なので、身体にそれが伝わる。(高橋正子)

○柏葉紫陽花

[柏葉あじさい/横浜日吉本町・金蔵寺]

★紫陽花や藪を小庭の別座敷/松尾芭蕉
★紫陽花の末一色となりにけり/小林一茶
★紫陽花の花に日を経る湯治かな/高浜虚子
★紫陽花や水辺の夕餉早きかな/水原秋櫻子
★紫陽花や白よりいでし浅みどり/渡辺水巴
★紫陽花の醸せる暗さよりの雨/桂信子
★大輪の紫陽花に葉の大きさよ/稲畑汀子
★里山の結界なせる濃紫陽花/宮津昭彦
★あじさゐや生き残るもの喪に服し/鈴木真砂女 ★誓子旧居紺あぢさゐに迎へられ/品川鈴子
★紫陽花の花あるうちを刈られけり/島谷征良
★あぢさゐに触れて鋏のくもりけり/高田正子

 紫陽花は梅雨の花として、ずいぶんなじまれている。七変化とも呼ばれて、薄緑の蕾の時から色が変わりつつ、咲き終わるまで、一か月もかかるのではと思うほどである。子どもの頃は紫陽花と言えば、毬のような紫陽花しか見たことはなかった。紫陽花の葉に蝸牛が載っていることもよくあった。絵本やイラストなどにも、紫陽花に蝸牛を添えてある。砥部の家の庭に毬のような紫陽花と、臥風先生のお宅から来た額紫陽花を植えていた。花を切るときは、独特の青臭い匂いがして、たくましい花だと思うが、水揚げが難しい。切り口にミョウバンをこすりつけることもある。
 柏葉紫陽花を初めて目にしたのは、松山市の衣山の自宅近くにある総合公園であった。初めは、なんという花だろうと思っていたぐらいだ。毬のような紫陽花なら和風の雰囲気だが、柏葉紫陽花は、オフホワイトの色が洋風なイメージである。紫陽花は日本原産の額紫陽花をもとに改良されたようだが、ごく最近は、いろいろな園芸種の紫陽花を見かける。私には、一目では紫陽花の細かい名称はわからない。日吉本町には、柏葉紫陽花が多くの住宅に植えられている。洒落た風で、都市住宅に似合うのだろう。飽きるほど見る。柏葉紫陽花は、北米原産と聞くと、なるほどと頷ける。相似形の白い花が2、3段重なって、バッグや服の飾りのようだ。

★都市なれば柏葉紫陽花咲かせたり/高橋正子

 紫陽花(アジサイ、学名: Hydrangea、アジサイ科アジサイ属の植物の総称である。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもある。また、英語では「ハイドレインジア」と呼ぶ。開花時期は、 6月から7月15日頃。ちょうど梅雨時期と重なる。日本原産。色がついているのは「萼(がく)」で、花はその中の小さな点のような部分。しかしやはり萼が目立つ。紫、ピンク、青、白などいろいろあり。花の色は土が酸性かアルカリ性かによっても。また、花の色は、土によるのではなく遺伝的に決まっている、という説もある。
 最も一般的に植えられている球状のアジサイはセイヨウアジサイ(ヒメアジサイ・テマリ咲きアジサイは別)であり、日本原産のガクアジサイ (Hydrangea macrophylla) を改良した品種である。エングラーの分類体系では「ユキノシタ科アジサイ属」になっているが、クロンキスト体系ではユキノシタ科の木本類をアジサイ科として分離独立させている。
 アジサイの原種は、ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla forma normalis)。栽培種は、アジサイ f. macrophylla、セイヨウアジサイ f. hortensia、ヤマアジサイ(サワアジサイ) H. macrophylla subsp. serrata (Thumb.) Makino、エゾアジサイ subsp. yezoensis (Koidzumi) Kitamura。飾り花をもたないカシワバアジサイ(Hydrangea quercifolia)は、北米原産。
 樹高は1–2メートル。葉は光沢のある淡緑色で葉脈のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。6月から7月に紫(赤紫から青紫)の花を咲かせる。一般に花といわれている部分は装飾花で、おしべとめしべが退化しており(中性花)、花びらに見えるものは萼(がく)である。ガクアジサイでは密集した両性花の周囲にいくつかの装飾花がみられるが、セイヨウアジサイではほとんどが装飾花となっている。
 紫陽花は、開花から日を経るに従って、花の色は変化する。最初は含まれる葉緑素のため薄い黄緑色で、徐々に分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が生合成され、赤や青に色づいていく。さらに日が経つと有機酸が蓄積されてゆくため、青色の花も赤味を帯びるようになる。これは花の老化によるものであり、土壌の変化とは関係なく起こる。


◇生活する花たち「花菖蒲」(横浜・四季の森公園)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする