俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

9月号後記/平成22年

2010-07-11 23:31:10 | 花冠投句
後記
★新涼の季節、九月号をお届けします。今月
号も先月号に引き続き、「電子書籍を読む」
について多くの方から感想を寄せていただき
ました。信之先生が電子書籍化された句集へ
のお礼も含め、あたらな気持ちで句集に向き
合われたことなど、ご自分のこととしての感
想に現実味があります。出版各社もようやく
重い腰を上げた感じがします。電子書籍の売
れ行きの伸びと相俟って紙の書籍も売り上げ
を伸ばして、胸をなでおろした様子です。平
成十三年には平成八年の二十倍の電子書籍が
売られると調査会社が報告しています。電子
書籍の時代がくることは間違いないでしょう。
ただ、心配がないわけではありません。出版
不況に陥り、よい本が出版されなくなり、本
当に読みたい本が市場から消えたことも現実
です。電子書籍においても、売れ筋の本ばか
りが出版され、本当に読みたい本が電子書籍
化されないこともありうることでしょう。ま
ず、よい内容の本を早く魅力ある本として電
子書籍化し、読者を逃さないようにしておく
べきでしょう。俳句に関するものもしかり。
そういう意味で、花冠の電子書籍は意義が深
いと思います。電子書籍がもっとの研究され
て、利点が生かされ楽しいものになればよい
と思っています。
★信之先生の俳句鑑賞を毎月違った方に書い
ていただいています。俳句は、一人ではなか
なか的確に読めないもの。鑑賞の参考にして
いただければと思います。「作者の気持ちに
なって」読むのが花冠の伝統的俳句鑑賞の方
法です。私見を優位に置いたものではありま
せんので、きっとお役に立つと思います。
★久しぶりに吟行記の掲載です。加代子さん
のご報告で、五月の秀之さん歓迎吟行句会の
模様です。お楽しみください。夏の吟行で思
い出すのは、鵜飼もあるけれど、気軽な吟行
です。四国札所の奇岩で有名な岩屋寺の吟行
で立ち寄った食堂。お昼に汗して帰ったご主
人が脇のテーブルで食事。われわれの食べた
ものは忘れたが、ご主人の昼食のおいしそう
なこと。大きなひややっこに鰹節を盛って、
もう一皿は、胡瓜を切ったものに醤油をかけ
て。それと白いご飯。吟行にゆけば、こうい
う涼しげな、人間的な体験ができる。涼しく
なったら、吟行句会を予定しています。
★「子どもの俳句」を真っ先に読みますとい
うメールを某俳句雑誌の若い女性編集者から
いただきました。大変うれしいことです。
「子どもの俳句」もよろしくご支援ください。
暑いときですので、お体大切にお過ごしくだ
さい。             (正子)
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7月11日(日)

2010-07-11 16:32:36 | Weblog
★蕗の灰汁つきたる指のきしみがち  正子
蕗の灰汁は指先や爪の中まで黒く染み付いて、匂いも中々取れません。気になってその指先を何度も擦ったり、他のお料理をする中で何となくきしむ様な感覚を覚えます。お忙しい中で台所での生活感溢れる御句と思います。(佃 康水)

○今日の俳句
大青田山裾までの拡がりに/佃 康水
山裾まで広がる「大青田」に、目も心も涼しくさわやかになる。(高橋正子)

○俳句
李熟れて落ちし無残を見て通る
蓮の花散しばかりが舟のごと
雨粒をぱらぱら受けし蓮の花

○参議院議員選挙。
 

◇生活する花たち「ハンゲショウ」(横浜日吉本町)
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9月号投句/平成22年

2010-07-11 13:38:51 | 花冠投句
氷菓食ぶ
高橋正子

朴の花見むと花より高く来し
街路樹に栃の花房氷菓食ぶ
蛍火の高きは水のいろを帯ぶ
ほうたるの火が飛ぶ風が吹き起こり
紫陽花の毬るいるいと寺の門
蓮つぼみ青きとがりのまだ無疵
蓮つぼみ抽き出し二本がくれないに
葛の葉の垂れしは涼し揺れており
日々散れる日々草の花を掃く
白粉の花のうしろから暮れる
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7月10日 俳句メモ6月11日~7月10日

2010-07-11 13:06:26 | 花冠投句
金蔵寺7句
風吹けば白はまぼろしハンゲショウ
半夏生群れたるここはまぼろしか
青き実に西日差し入る白雲木
蓮つぼみ青きとがりのまだ無疵
蓮つぼみ抽き出し二本がくれないに
紫陽花の毬るいるいと寺の門
葛の葉の垂れしがきれい梅雨の山
 日々ペットボトルの水を飲むにつけ
富士湧水ペットボトルに冷えており
ほうたるの火が飛ぶ風が吹き起こり
ほうたるの五つ六つの渓深し
ほうたるの火が飛ぶ風が吹き起こり
ほうたるの消えしは橋をくぐるとき
大風に額紫陽花の裏がえり
枇杷の実に雨は一日止みもせず 正子
額あじさい雨を受けては海の色 正子
わらびもち電話かかればそのままに 正子
青紫蘇の丈の低きの二枚摘む
 津和野回想
鷺舞の二羽に行き逢う旅の途に
瑠璃鶲・野鶲・駒鳥みな知らず
鯵を焼く藻塩さらさら振りかける
朴の花上より見むと上に来し
街路樹に栃の花咲き氷菓食ぶ
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