◆自由な投句箱①/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋信之

8月11日~20日

2017-08-12 10:01:49 | Weblog

8月20日(6名)

●多田有花
頂や残暑の雲を正面に★★★★
うろこ雲滅びし城の絵を描きぬ★★★
盆踊知らせる朝の町内放送★★★

●満天星
虚空より宙ぶらりんの葛の花★★★★
涼新たサダコの鶴の飛び立ちぬ★★★
朝涼の鐘鳴りわたる狭庭かな★★★

●小口泰與
草の実へ千五百の雀飛来せり★★★★
山肌の彫の深きや下り簗★★★
祝辞前空酒をちと天高し★★★

●廣田洋一
秋祭り幟はためく町の角★★★★
町角に秋祭りの幟がはためくと、新しい季節、祭りが近づいたことを思い、気持ちが浮き立つ。幟の墨痕の力強さが眼に染みる。(高橋正子)

稚児舞に馴染みの顔や秋祭り★★★
鎌倉の馬場しつらえる秋祭り★★★

●桑本栄太郎
<丘上の墓より>
群青の水平線や盆の海★★★★
「盆の海」と「群青の水平線」が深く繋がっている。ただそれだけで、作者の気持ち十分に表わされている。(高橋正子)

盆波のはるか沖なり島の影★★★
海よりの風におののく門火かな★★★

●川名ますみ
愛猫という一語聞くお棚経★★★
新盆の猫も読まれし僧の経★★★★
今年亡くなった家族の一員の愛猫が、新盆の仏に加えられた。僧の心配りに、和み、愛猫の死を受け入れる。(高橋正子)

来客も手を合わせおり盂蘭盆会★★★

8月19日(6名)

●川名ますみ
万緑の敷きたる街を高階に(原句)
万緑の敷きたる街の高階に★★★(正子添削)

簾から暗くなるとき光るとき(原句)
簾から暗くなりゆき光る街★★★(正子添削)

雲の峰ベイブリッジを行くも未だ(原句)
雲の峰ベイブリッジを行くときに★★★★(正子添削)
横浜港にかかるベイブリッジ。その雄大で伸びやかな姿の橋を行く間、雲の峰は消えずにあった。雲の峰に力づけられた気持ちだ。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
前撮りの背中露はに夕化粧★★★★
ねぢれたる定家葛の花あはれ★★★
鰭たたき跳ねたる鱏をまのあたり★★★

●多田有花
未明の秋雷遠くで響くサイレン★★★
雨あがりつくつくぼうし鳴く夜明け★★★★
秋の蝿ただ一匹のうるさくて★★★

●小口泰與
朝露やすっぽり濡れしスニーカー★★★★
朝露の置く田の中の小道だろうか。スニーカーを履いてさっそうと散歩に出掛けたが、すっぽりと朝露に濡れてしまった。露の深さに秋を思う。(高橋正子)

良く眠り食も足らうや秋団扇★★★
幾年の悪友たりき青蜜柑★★★

●廣田洋一
受賞せし友を囲みて秋の宴★★★
秋の朝かけ直しけり掛布団★★★★
薄雲の空覆ひけり秋の朝(原句)
薄雲の空を覆えり秋の朝★★★(正子添削)

●桑本栄太郎
がうがうと天地騒めく秋の雷★★★

ソーラーのパネル数多や秋暑し(原句)
屋根屋根のソーラーパネルや秋暑し★★★★(正子添削)
中七の「や」は必要。
ソーラーパネルがどの家の屋根にも設置され、眺めは壮観だ。その黒い反射光はまさに「秋暑し」を眼に見せてくれる。(高橋正子)

いろどりの田毎に違う稲穂かな★★★

8月18日(5名)

●多田有花
八月や戦の記憶あちこちに★★★
新しき眼鏡越しなり秋景色★★★★
新しい眼鏡のレンズを通して見ると、これまでとは違って、くっきり見えたのでは、と思う。秋の景色のさわやかさをレンズ越しに楽しんだ。(高橋正子)

秋蝉の鳴き飛び交いぬ森の道★★★

●谷口博望(満天星)
吸葛夢二の美女を思ひ出す★★★
鬼灯や古里からの姉の声★★★
父の顏知らぬ人生白桔梗★★★★

●小口泰與
蜉蝣の又わき出でし夕まずめ★★★
あの頃の夢の世界や秋の空★★★
秋空や音弛みなき寺の鐘★★★★

●廣田洋一
朝顔の支えなき蔓伸び上がる★★★★
朝顔や隣の庭の紅き色★★★
庭の花見向きもせずに秋の蝶★★★

●桑本栄太郎
<高速米子道を帰省>
峡谷の杉の木立や秋の峰★★★
棚田なる民家まばらや稲穂波★★★
分水嶺過ぎて故郷へ帰省バス★★★★
分水嶺はその嶺を境に雨水が違う水系に分かれて流れる。分水嶺を越えれば、景色が変わるだろう。帰省のバスに揺られながら、心は故郷へと逸る。(高橋正子)

8月17日(5名)

●多田有花
異国より戻りし子らも西瓜食ぶ★★★★
故郷の盆を思い出すとき、大人数で西瓜を食べている光景が浮かぶ。異国から帰った子どもらも、西瓜を食べ、家族に安らいだことだろう。(髙橋正子)

盆の川はぐろとんぼの群れて飛ぶ★★★
輝く陽部屋に入り初め初秋の午後★★★

●満天星
満州より流民人生去ぬ燕★★★★
つくつくし地蔵祭の幟濡れ★★★
青々と葉陰に育つ梧桐の実★★★

●小口泰與
霧の香や牧の売店ジャズ流す★★★★
牧場に濃く流れる霧の香。近くの売店はジャズを流して、レトロな雰囲気だ。日常と少し違った世界に寛いだ。(高橋正子)

露の玉朝日を乗せて落ちにけり★★★
上越の山の美しや渡り鳥★★★

●廣田洋一
送り火を焚く家一つ増えにけり★★★★
魂送り茄子の乗り物片付けぬ★★★
送り火を修し夕餉の一人酒★★★

●桑本栄太郎
<ハイウェイバスにて帰省>
帰省子のバスを待つ間のゲームかな★★★
ハイウェイを分離したるや夾竹桃★★★★
見下ろせばはるか眼下や稲穂波★★★

8月16日(5名)

●満天星
実石榴の異国情緒を壺に挿す★★★★
柘榴の実は、異国情緒と言われれば、トルコ辺りが思い浮かぶ。文人趣味的でもあって、壺に挿してみれば、面白味がある。(高橋正子)

大榎へ椋颯爽と来て去りぬ★★★
榎の実枝ごと落とす烏かな★★★

●多田有花
盂蘭盆会一年ぶりに顔を見る★★★
珍しや小雨がちなる盂蘭盆会★★★★
墓参すませみんなで寿司を囲む★★★

●小口泰與
単線の尾灯や谷の秋の音★★★★
小鳥来て芝に夕日を溜めにけり★★★
たもとおる落鮎釣の子等の声★★★

●廣田洋一
霧雨や狭庭の緑色濃くす★★★★
霧雨や窓のガラスに雫垂れ★★★
霧雨や雨に変わりて降り続く★★★

●河野啓一
人の世に無念の多き終戦忌★★★
盆過ぎてほっと一息孫帰る★★★
大空襲津々浦々にあり終戦忌★★★★

8月15日(4名)

●谷口博望(満天星)
兄からの絵手紙途絶えつくつくし★★★★
遠くより美貌ふりまく百日紅★★★
夕凪や小魚跳ねて川下る★★★

●多田有花
迷い込むばったをつかみ外に放つ★★★★
急坂を車で登り墓参★★★
盆の夜半静かに雨の降り始む★★★

●小口泰與
鯨尺たまさか使う今年絹★★★
爽籟や雨後の芝生え鳥数多★★★★
「爽籟」は、秋風のひびき。雨の後、芝生が生き生きと生えそろい、芝には鳥がたくさん遊んでいる。爽やかな秋風の中の風景。(高橋正子)

月白や羽音激しき禽の群★★★

●廣田洋一
終戦日玉音聞きし防空壕★★★
新涼や空き家になりし燕の巣★★★★
新涼の季節を迎え、ふと燕の巣を見上げると、まったく空っぽの巣。新涼を迎えたものの、燕のいない淋しさ。(高橋正子)

手を叩きすすすと進む踊りかな★★★

8月14日(4名)

●多田有花
秋口の夕餉のしたく簡単に★★★
気がつけば燕去りにし空の青★★★
秋の夜の部屋に飛び込むばったかな(原句)
夜の部屋に飛び込むばった緑かな★★★★(正子添削)
「ばった」は、秋の季語。この句の「秋」は、不要。
夜の部屋に飛び込んだばったが、みずみずしい。思いがけない珍客に秋の夜が楽しくなる。(高橋正子)

●小口泰與
噴煙の倒れ癖ある薄かな★★★★
秋声や湖耐えがたき白き波★★★
樹を抱けば妙なる水音(みおと)夕月夜★★★

●廣田洋一
絡み合う枝豆青し道の端★★★★
枝豆やどつと手が出る青き皿★★★
枝豆や休肝日なる友の居て★★★

●河野啓一
--デイの“夏まつり”--
たこやきとノンアルコールみな笑顔★★★
夏祭り笑顔たこ焼き缶ビール★★★
翁にも軽やかに鳴る触れ太鼓★★★★
「軽やか」がいい。読み手にも触れ太鼓の軽やかなで浮きたつ気分をくれる。(高橋正子)

8月13日(4名)

●多田有花
暮れゆけば蝉声虫の音に変わる★★★★
怪談を残る暑さの中で読む★★★
盆休み蓮咲き初めし山の池★★★

●小口泰與
枝豆や妻の帰りを待ちにける★★★★
オカリナの音の楽しき花野かな★★★
すっきりと喉越し嬉し今年酒★★★

●廣田洋一
魂迎へ母の年には及ばざる★★★
苧殻焚く家に残りし子と二人★★★★
魂迎へ年忌を終えし父を待つ★★★

●谷口博望(満天星)
睡蓮や昔のままの小さき橋★★★★
写生句だが、作者の思いが伝わってくる。中七の「昔のまま」がいい。下五の「小さき橋」がいい。(髙橋信之)

高々と鷺天辺に竹の春★★★
無人家の無花果赤き口を開け★★★

8月12日(4名)

●多田有花
八月の朝蝉声に目覚めおり★★★
アラームをかけて体操秋初め★★★
頂で出会いし秋の初風に(原句)
「し」は、文語過去の助動詞「き」の連体形。出会い
頂に出会いき秋の初風に★★★★(正子添削①)
頂に出会いぬ秋の初風に(正子添削②)

●小口泰與
栗おこは北斎漫画見ておりぬ★★★
甘柿に集いし禽の鋭声かな★★★
釣人や湖の平らへ桐一葉★★★★

●廣田洋一
降り続く雨に耐えたる露草かな★★★
露草や群がり咲けどしおらしく★★★
露草の水玉一つ光りける★★★★
露草についた水玉は、多分たった一つだろう。露草の花をいっそう輝かせる水玉は、露草にのって命の水玉だ。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
慰霊碑へ百合に埋もれしマリア像★★★★
孫たちは知らぬ先祖や墓参★★★
車窓より首掲げたる鉄砲百合★★★

8月11日(5名)

●満天星
晩学の俳句の道や蝸牛★★★
帰ろうか川を南へ川鵜飛ぶ★★★★
鳴くことをやめて落ちたるつくつくし★★★

●多田有花
新涼のベランダに出て昼ごはん★★★
初めてのつくつくぼうしを聞く山路★★★★
口語的表現の成功した佳句。17字の終わりに置いた「山路」が一句の主題で、収まりがいい。(髙橋信之)

氷水で喉を潤す残暑かな★★★

●小口泰與
秋の日や下山の人の息あらし★★★★
わやすく落鮎釣れし千曲川★★★
白菊を束ね遠山目指しけり★★★

●廣田洋一
秋めくや赤ワインにて乾杯す★★★★
中七に置いた「赤ワイン」が一句のポイント。読者の感覚に訴え、詩的な印象を与える。(髙橋信之)

秋の山噴煙上げて人拒む★★★
桃の実やつるりと剥きて皿に乗せ★★★

●桑本栄太郎
秋暑し京の町家の路地伝う★★★★
見渡せば早やも車窓の稲穂かな★★★
いそいそと旅の仕度や帰省の子★★★
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