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梶哲日記

鉄鋼流通業相談役の日々

介護仕事の近況(その10)

2025年03月08日 03時56分49秒 | Weblog
件の利用者のAさんの拒絶が続いています。と、いっても妻が作った食事の拒否ではなく、朝の起床です。他の利用者は、自ら6時台から起きリビングに顔を出し、7時の朝食までテレビを観たりコーヒーを飲んだりゆったりと朝の時間を過ごします。その他の利用者が食事を終え、自室に戻った8時過ぎ頃から、Aさんへの起床の声掛けが始まります。そして最終9時過ぎにはデイ介護の送迎車に載せなくてはなりません。

Aさんは睡眠障害があり10時間以上寝たとしても、本人は睡眠の充足感が無いようです。通院している精神医は、朝起きて昼の施設に通所するだけでも褒めてあげなさい、とは言うそうです。とはいうものの、職員は中々起きないAさんを起こして食事をさせ送り出すことが大仕事です。Aさんの難儀なこところは職員の顔色をみることです。駄々をこねる人とそうでない人がいますが、私は駄々をこねられる人です。

私の時の起床の声掛けは2回・3回は当たり前、送迎車が来るまで起きず、その送迎車の職員の手を借りることもあります。私にとってみると、それは恥です。Aさんは自分が起きられないのは、潜在意識がなせる業で自分ではないと、幼児退行を起こしていると(潜在意識は過去の自分であるとの説です)主張します。正直、これが私の唯一この仕事でのストレスとなります。介護でブルーな気持ちになった時、次の文章を思い出します。

『利用者と介護者との関係』
利用者の現在の状態だけでなく、利用者には人生の背景があることを理解し、可能な限り共感し受容することが大切である。また利用者の、身体的・精神的・社会的側面、生活活動の状況、環境因子、個人因子、健康状態などを細かく知ることが必要である。一方介護者は自分自身を知り、自分の価値観や感情などについて客観的に理解しておくことである。その自己覚知をすることで、目の前の利用者の真の姿を理解することができる。また利用者と信頼関係を構築するには、自分の感情や行動をコントロールすることが必要である。両者の人間関係は、介護の質を決定づけるものである。特に信頼関係がないと、介護実践が成り立たない。その構築の為には十分なコミュニケーションが不可欠である。

これは介護福祉士実務者研修のテキスト中の、「人間関係の形成に関する記述」の言葉です。介護者は対する利用者の十分な理解はいうまでもありませんが、先ず優先しなくてはならないのは介護職自身の自己知覚だとのことです。これを阻むものは先入観や偏見ないし傲慢性ではないかと、私は思います。これを常に払拭できて初めて、介護者は利用者と同じ目線になれるとの訓えです。私に取ってAさんの存在は、これを実践できるかのお試しだと受け止めています。

話しは介護から少し離れるかもしれませんが、自己覚知について最近感じることがあります。私の前職である鉄鋼流通業界の、大手2社の社長交代がありました。退いた社長はどちらも私と同じ72歳、共に息子(同じ40歳代)へのバトンタッチでした。ここからはあくまでも持論です。50年、30年、5年、滞留年数に対する私の考えです。

私は父親が経営する会社の鉄鋼業界に入り50年が過ぎ、半年前に役員も外れ相談役となり、鉄の業界から完全に引退しました。この50年は人生においても長く、別の自分の存在を知りたいのなら50年は一つの区切りです。私は37歳で社長となり30年が経過して、67歳でその席を後進に譲りました。社長歴30年説は一般論となっていますが、その背景には目まぐるしい経済環境への対応力の必要性と、社長の30年以上の在職は老害君臨のリスクがあるからです。

後進の候補(息子)が既に社内にいるのであれば、社長職を60歳代に譲れれば理想的です。長期政権は、後進の社長が活躍する機会を奪っていることに他なりません。先代は「息子に失敗させたくない」「俺の方がまだ経験が豊かだ」との思いでしょうが、見方を変えれば、早く任せれば失敗は糧となり若い人の行動力や発想は早く反映されます。

5年は、社長職を後継者に譲って先代が伴走する期間としての年数です。この時期は先代や新社長、そして社員(新社長の受け入れ)にとっても大切です。上手く引継ぎ・引き継がれていくかの調整期間ですが、大事なのは先代がこの期間中に後継者に全権を委ねる覚悟を決められるかどうかです。ここに譲る側の、自分の力には限界があるのかもしれないとの自己覚知、その有無が決め手です。もし自分の力がまだ有限だと思ったら、新社長が独り立ちする目的の為にも、自ら退き違う世界に挑戦すべきです。最後のこの5年は、徐々に前職を離れ自分は何者かを理解する、自分の為の5年でもあります。

年数の区切りの持論を押し進めたところ、そこに介護の世界が待ち受けていました。この仕事も気力・体力を考えたら、後何年位できるかと考える時があります。しかし、働ける間、働ける職場があることに感謝しています。このシリーズは今回の(その10)を以って終わりとさせてもらいます。読み続けて下さり、ありがとうございます。


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