梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

会社の方向性

2018年08月11日 10時22分41秒 | Weblog
わが社の決算期は6月です。それまでの1年間の業績が判明したところで、前期の結果分析をして、新たな当期の事業計画を立て、社員全員に発表します。その社員全体会を、8月4日の土曜日の午後に行いました。

この全体会は毎年行ってきましたが、今回は例年と異なりました。例年であれば当期の事業計画は確定していて、その目標に対して各部門でグループ討議をし、最終的に個人目標が設定できるようにしていました。今回は、今後目指すべき会社の方向性を幹部で策定しましたので、それを理解してもらうだけに時間を費やしました。

2年前に中期3年計画を策定して、当期が最終年度でした。実は、その事業計画が殆ど達成されなかったのです。理由は、全社員を巻き込んでの、実践する努力を怠り、計画倒れになっていました。目標利益は達していないが黒字で終わっている、その侮りもあります。それは幹部社員の責任であり、勿論幹部に執行を委ねた私の責任です。

PDCAという手法があります。事業活動における生産や品質管理を円滑に進めるため、または定められた目標を達成するため、 Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことによって、やると決めたことを継続的に実行して改善するものです。わが社の場合、C以降に大いなる問題がありました。

その反省を踏まえた上で、運営される組織も抜本的に見直し、製造部に新たな要職者を選任して、収益の柱である加工事業に集中する体制を整えました。そしてその製造部の要職者を交えて、従来の幹部らと、当期の事業計画を先月徹底して話し合いました。

新たな会社の方向性としては、“他社が行わない加工や技術力でオンリーワンを目指す” です。その加工とは主に開先(鉄同士を溶接で繋ぎ合わせるために、角の部分を斜めにそぎ落とす加工)です。ナンバーワンとは同業他社が存在する中で一番に秀でること、オンリーワンとは同業他社がいない分野を極めることです。

最新鋭で開先機能が付いた、6kのレーザー機を導入して3年が経ちました。本来垂直稼動だけの火口が傾斜し、ワンカットで開先加工ができ、それも曲線の開先が可能です。今日まで色々な開先の依頼を受け、試行錯誤を重ね製品化への自信もつき、最近その受注は増加しています。

相まってガス溶断加工における開先も、それも他社がやらない加工も増えてきました。一般のNCガス溶断機ではできない開先でもあり、ポータブルや簡易機械を使っての、現場の作業員の技に頼るものです。熟練の蓄積された技術が、伝承されなければならない分野です。

2年間の失敗はありますが、本来のわが社の進む向性が、ようやく見えてきたと私は感じています。従来の幹部が吸収しきれなかった、製造部の新たな二人の要職者が感じ取ってきた、会社の進むべき道かもしれません。

他社が追随しない世界を目指すことは険しい道となります。これは、工場の仕事を埋めるだけの量産を求めず、安易な安売りで競争しない宣言でもあります。やらされる計画からやりたくなる計画を目指し、新たな事業計画が社員の夢と希望に繋がることを願います。
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