絵本//紙芝居//俳絵 

 句写美俳句会のみなさん、そしてじぃじの文と、一勝の絵でお届けします。

連句・小満の巻

2010-09-24 13:52:28 | 絵本


01・小満や蚕起き出し桑を食む・鴻風

・小満だなあ蚕も起き出して桑の葉を食んでいるよ。

02・一仕事終へ注ぐ走り茶・瓢花

・蚕に桑の葉も与えて一仕事終えた。お茶でも注ごうか。

03・山開き六根清浄と杖つきて・與三右

・富士山の山開きだ。六根清浄と杖をついて登ろう。

04・五合目で会う虹の大橋・朋子

・五合目まで登ってきたら小雨もやみ、虹の大きな橋がかかっているよ。

05・百名山踏破の夢を追ひつ往く・薫子

・富士山を一として、これからは百名山をとうはしてやろう。次は北の利尻山だ。

06・湖畔に一人イーゼル立てる・有亭

・夏の終わりに湖畔に来てイーゼル立てるのは美しき女性だろうか。

07・吹く風に新涼すでに覚えけり・江梅

・夏だと言っていても、すでに秋風を肌身に感じるね。

08・授業開始の鐘を聞きつつ・清月

・畑で耕していると、授業開始の鐘の音が新涼の中に聞こえてくるよ。

09・手びねりの杯交す月明かり・一勝

・「勧君更尽一杯酒」…王維と元二の漢詩の世界にも通じるじゃないか。

10・夢の世界へタイムスリップ・千枝

・杯を交わしながら、夢をかたりあったあのころにタイムスリップしよう。

11:裏五・秋の夜や宇宙に想ひを馳せてゐる・朋子

   夢の世界が宇宙とは大きいね。宇宙旅行に旅立とうよ。

12:折端・千の風吹き蟋蟀の鳴く・花惠

宇宙の果てから吹いてくる千の風。蟋蟀も鳴いて冬もまじかだ。 

13:名残・折立・あの人に逢ひたし雪の降れる街・紀子

   あの人に逢いたくて、雪の降る街を急いで行く女の情念はすさまじいのだ。

14:ホットコーヒーのほろ苦き香・千枝

  恋しいあの人に逢えて、ほっとして二人で飲むほっとコーヒなのだ。

15:竹林の狭間を流る冬の川・花恵

   恋の後の句には、こうした上品な俳句がふさわしいね。

16・静かに鳶空に輪を描く・瓢花

・地には「冬の川」。地上には「鳶」か。いいね。

17・髪染めて若やぐこころ春隣・利久

・春も近づいてきた。せいぜい髪を染めて表に出ようか。

18・新譜のやうなさざ波来たる・紀子

・髪を染めた気持ちは「新譜のやうなさざ波」にも似ているのだ。 

19・湖の小舟過ぎ行き山櫻・鴻風

・ ささ波を澪として湖を小舟が過ぎていった。

20・栄華称へし炭山仰ぐ・一勝

・かつては栄華をたたえていた炭山なんだが。今は仰ぐだけだ。

21:独活室にまづは蝋燭入れにけり・清月

・かつて防空壕であったところを利用しての独活の栽培だ。酸素が入っているかどうか先ずはロウソクで確かめなければ。

22:祖母の手解き受くる味付け・有亭

・「うど」ばかりではないよ。祖母の味付けは最高だものね。

23:遠き日の花火と共に消えし恋・美秋

・季語が「花火」で一気になったが、ここは美秋さんに夏を引っ張ってもらおう。

24:浴衣の絵柄いまも忘れじ・薫子

・いいね。あの時着ていた浴衣の柄は朝顔だったね。
・人それぞれの発想は面白いね。半角斎は「朝顔の花」を連想したら、絵を画く一勝さんは裸にしちゃったよ。隠れ撮りをしているのは、じぃじかよ^-^

25:手花火に浮かぶ縁側父の声・利久

・浴衣を着た男の子と女の子が花火をやっている。「火をつけるぞ」とパパの聲。
 ここも、大きく変わったね。

26:風鈴の音風を離るる・花惠

・いいね。すごく高尚な俳句だね。

27:幼子のひとみ輝き花火かな・良子

・23句目に「花火」が出て後に戻るのだが4句前だから、ま、いいことにしよう。


28:露も零さず朝貌の咲く・瓢花

・う~ん。花火の過ぎた朝の光景か。幼児の育てた朝顔かな。いいね。


29:パヴァーヌを聴くためにある秋の夜・夕花

・パヴァーヌとは16,7世紀の宮廷音楽。夕花さんは音楽家だものね。


30:栓を抜かれし秘蔵のワイン・利久

・パヴァーヌを聴くためにか、あなたのためにか。秘蔵のワインを開けて乾杯だ。この長い夜のために。 

31:仲秋や生まれ来る子の名を思案・清月

・双子のお孫さんのお名前を考えるのもたいへんだ~ぁ

32:仔犬戯れてる転げし木の実・薫子

・かわいい俳句だ。前の句に近ず離れずだ。

33:冬の浜打ち上げられし子の玩具・紀子

・一句としてりっぱに独立した俳句だ。

34:ウルトラマンは己が心に・千枝

・33句目の玩具はウルトラマンだったか。意外性がおもしろいね。

35:スーパーに節分の来て鬼笑ふ・美土里

・節分の夜が明けると、立春だ。待ちにまった春が来るのだ。鬼も笑っているよ。

36:挙句に匂ふ山桜かな・鴻風

・みなさんの力で、連句が満尾となった。うれしいね。