絵話塾だより

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2022年5月28日(土)イラストレベルアップコース・山内庸資先生の授業内容

2022-06-04 13:33:52 | イラストレベルアップコース
今日の授業では実技をします。皆さん、デッサンをしたことはありますか?
(描いたことのある生徒さんも、もちらほらみられますが、しっかり学んだ方はお一人でした。)


今活躍している若いイラストレーターは、芸大出身者が多いんです。基礎ができているので、応用が効くんですね。
山内先生も芸大生の時は、1枚3時間で日に3枚、年間千枚位描かれていていたそうです。
デッサンは、単に絵を上手く描くことだけが目的ではなくて、体に、頭に、物の形を覚えさせる工程でもあります。
手を動かして脳にインプットするんです。
例えば『りんご』をモチーフにイラストを描くとき、質感や色、光と影が思い浮かび、それをデフォルメして描ける人と、そうでない人とでは差が生まれます。
これまでは、インプットやアウトプットのお話がメインでしたが、今度はベースを固めていきましょう。
今日やったデッサンの授業を思い出して、時々描いてほしいと思います。そして、それぞれのイラストに活かしてほしいですね。

まずは、デッサンの基本について学びます。
デッサンの線の種類には、色の濃淡を表す線、質感を表す線、光と影を表す線があります。
これらの線をFから6Bの硬度の違う鉛筆を使って描き分けていきます。
更に硬いHを使う人もいますね。この中では6Bが一番柔らかいですよ。
硬いものは硬い鉛筆で、柔らかいものは柔らかい鉛筆で描きましょう。
後は影です。ハイライトとハイダークの部分があって、ハイダークの部分(このペットボトルで言うとこの部分です)に最も柔らかい鉛筆で描きます。
最も明るい光の部分は、消しゴムの角で消して表します。
他にも、鉛筆の先を立ててエッジの効いた線を表したり、寝かせて腹を使い、面を表すこともできます。


では、画材を配ります。
画用紙、HB・B・2Bの鉛筆、練り消しゴム・消しゴムが一人ずつに配られました。
紙はケント紙が良いです。真っ白な紙よりやや黄みがかっている方が上手に見えて、気持ちが乗るからお薦めです。
鉛筆もメーカーによって書き味がちがいます。
他に、羽ぼうきがあると、消し屑を払う時に、画面が擦れて汚れず便利です。
紙を寝かせて描くと遠近ができてしまうので、本来は立てて描くための画板も使います。
それから鉛筆はカッターで削ります。6角形の角を削り落としていきます。今日は鉛筆削りですが。


それでは描いていきましょう、モチーフは水の入ったペットボトルです。
基本、大体等倍から1.5倍の大きさで描きます。
描く位置は、一度決めたら動きません。大きさが狂ってしまいますからね。
では、鉛筆を立てて持ち、腕をピンと伸ばし、物差しのようにして、芯の先から親指の間で長さを取って測りましょう(写真参照)。
測るときは片目です。
まず高さを決めていきます。次に中心線を引きます。横幅も測っていきます。
比率は細かく測れば測るほど正確に形が取れます。
初めの形を取るときは、弱めの筆圧で描きましょう。
ラベルの回り込みの角度や位置にも気をつけて‥
  

形は、ある程度描けましたか?皆さん、良い感じに描けていますね。
測れたら、中を描いていきます。柔らかい鉛筆で描き込みます。
影は形に沿った線の流れを意識して、グラデーションにしましょう。
線の粘土をこねて、立体を立ち上げていくイメージです。よく見て立体にしていきましょう。
ペットボトルのアウトラインは、実際には存在しないものです。完成したものは、影の集合体で形作られ、境界線は、奥行きになります。
初めは大掴みに、デッサンが進むほど細かい線を意識しましょう。
机の影や、映り込みの影、反射も書き込みましょう。
影がわかりにくい場合、目を細めて見ると、細部に惑わされず、面で捉えやすいですよ。
質感や透明感の出し方は、よく観察して、ディテールを書き込んでいきましょう。回り込んで裏に見えるラベルも描きましょう。
   

それでは、手を止めて、皆さんの絵を見て周りましょう。
よく観察できている人、描き込みができている人、透明感が出せている人、
山内先生が作品を丁寧に見ていきながら、それぞれの良いところを紹介していきます。
上手な人のデッサンを見たり、描き方を真似したりすると、勉強になりますよ。
   

1回の授業でデッサンの全てを伝えることは難しいですし、1回でうまく描ける人はいません。
今日はまず、デッサンの取り組み方を覚えてもらいました。

イラストの仕事は、ずっと描き続けるので、集中力、忍耐力を上げることも大事です。
物の見方が深まり、観察力もついて、新しい発見もあります。
1時間でも良いので、毎日やると変わります。習慣化していけば、見えてくるようになりますよ、練習あるのみです。
いろいろ描いていくと、ストックが溜まっていくはずですから、たくさん描いた方が良いですよ!
デッサンが描けるからこそ、形をシンプルにしたり、崩しても美しく保てるんです。
ドローイングやスケッチの瞬発力とデッサンの理解度を深めていく力、どちらも重要です。
兼ね備えられると、シンプルもリアルも描けて、幅が広がりますよ。

今日の実技は皆さんとても集中していましたね。どの絵からも熱量が感じられました。きっとそれぞれに、気づきや学びがあったのではないでしょうか。

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