8月3日に開催された企業会計審議会総会の議事録が、金融庁ホームページに掲載されました。
これには、すでに骨子が公表されている安藤会長の「おことば」(単体財務諸表の会計基準のあり方に関する議論の総括)が文章の形で含まれています。
少し長くなりますが、以下その部分の引用です。
「私として、単体財務諸表の会計基準のあり方に関して、これまでのご議論をまとめさせていただきましたので申し述べさせていただきます。
第1点、連結の会計基準については、EUの同等性評価を踏まえ、東京合意に沿い、コンバージェンスを着実に実施するということだと考えております。
第2点、連結と単体の関係については、当審議会の昨年6月の意見書のとおり、連結先行のアプローチ、ダイナミック・アプローチをとるということだと思います。具体的には単体の会計基準は、個々の基準ごとに連と単を一致することに伴う諸々のコスト・ベネフィット、連と単を分離することに伴う諸々のコスト・ベネフィットを考慮した上で、最終的にASBJが判断するということです。その中で、個々の基準で会計処理の選択適用を許容することもあり得ると考えます。連結と単体のズレの期間、幅は、経営や内外の会計を巡る、税・会社法を含む諸状況により大きく異なると考えます。この連と単の関係についてのアプローチは、今後その是非を判断する予定であるIFRSの強制適用が仮に行われた場合についても、基本的に当てはまるものであると考えます。
今後も引き続き、IASBの国際会計基準の設定に対し、我が国としての経営実務や慣行、それを踏まえた会計の考え方等の意見発信が重要であると考えます。」
第3点、ASBJの基準設定プロセスについては、単体のコンバージェンスの程度をより広い見地から判断するため、より幅広く産業界等のステークホルダーの声を反映すべきとの意見が聞かれました。これに対し、ASBJからは、基準開発を行う上で、作成者、利用者、監査人等の関係者の意見を十分お聞きすることが最も重要であり、参考となる意見を積極的に伺っていきたい。同時に、ASBJは基準設定主体として厳格な独立性が求められており、最終的な判断は委員会で的確に行っていきたいとのご発言がありましたし、またご意見がございました。
また、公益財団法人財務会計基準機構理事長より、ASBJが引き続き連と単、双方の日本の会計基準いわゆるJ-GAAPの策定主体であるべきであり、今後、会計基準設定主体の独立性を確保しつつ、基準策定機能の強化及びそのための産業界を含む各ステークホルダーによるバックアップ強化のための方策を検討し、今後、審議会にご報告したい旨の申し出がございました。
第4点、金融商品取引法及び会社法上、単体へのIFRS適用については経済界からの要望があり、今後、特に会社法における制度整備等の検討が必要であると考えます。
企業会計審議会としても今後、IFRSの連結への強制適用の是非を判断する際に、次のステップの選択肢として単体への任意適用を認めるという方向性を示すことができればと、考えております。
第5点、金商法における単体情報については、その投資情報としての有用性の観点に加え、会社法で単体の計算書類が作成され、株主に届けられ、その情報は投資家にも開示すべきとの観点から、引き続き開示するべきであると考えております。ただし、簡素化等、見直しは行うべきであると考えます。
第6点、最後ですが、連と単の関係は非常に難しい問題であり、関係者一丸となった対応が必要であると考えます。
以上でございます。
単体財務諸表の会計基準のあり方に関する議論につきましては、本日のご審議をもちまして一旦終了させていただき、ASBJにおいて、個々の基準の精力的な検討をお願いしたいと考えております。」
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