会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

株価不安の今、「有価証券報告書」が実に面白い(東洋経済より)

株価不安の今、「有価証券報告書」が実に面白い

有価証券報告書のユニークな読み方を示した記事。

有報には会社の個性が表れているそうです。

「有報には明確にその会社の個性が表れる。経営者が自らの言葉で投資家に語りかけるような説明文になっている会社もあれば、「わが国の経済は~」で始まるお題目が大半を占め、会社に関する具体的な説明はほんのわずかという会社もある。

不思議なことに、縁もゆかりもない会社同士なのに、“ほとんど同じ文章”に出くわすことがある。宝印刷やプロネクサスなど、かつて有報の印刷業務を手がけていた会社は、入力すれば有報が出来上がるソフトを提供している。そのソフトによって、サンプルとして入れている例文をそのまま修正せずに使う、横着な会社が一定程度存在するからだ。」

優良企業なのにIRに後ろ向きな「頑固3兄弟」がいるそうです。

「最近何かと話題のキーエンス。日本が世界に誇る特殊センサーメーカーである。2019年3月期の有報を見ると、従業員の年間平均給与は2110万円超(平均年齢35.8歳)。前期の営業利益率は54.1%で、時価総額ではソフトバンクグループやソニーを抜き、4位に浮上しているほどだ(2019年11月12日終値時点)。

が、黙っていても世界中から機関投資家が群がってくるほどの好業績ながら、IR(投資家向け広報)には後ろ向きなことで知られる。近年ではだいぶ姿勢が軟化しているが、かつてはホームページ(HP)上に有報はもちろん、決算短信や適時開示も直近のものしか掲載しない会社だった。

あまりのかたくなさゆえに、ファナック、SMCとともに、“頑固3兄弟”なるあだ名を付けられていたほどだ。

そのキーエンス、柔らかくなってきたとはいえ、いまもIRに積極的ではないことを、同社の有報は物語っている。まずはページ数。9兆円もの時価総額の会社でありながら、総ページはわずか62ページ。海外投資家と積極的に対話をしようという気はさらさらないのか、グローバルカンパニーでありながら会計基準は未だに日本基準だ。」

「しかも内容を見ると、説明意欲の低さを実感する。象徴的なのは「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」だ。割いている行数は見出しを含めてわずか12行。海外事業の拡大などにサラッと触れただけで具体的な中味は乏しく、キーエンスの有報が現在のスタイルになった2001年当時から、ほぼ変わっていない。」

これと対照的なよい例として、丸一鋼管を挙げています。

そのほか、非上場会社の有報、「主要な設備の状況」や「経営上の重要な契約等」から得られる情報などについて取り上げています。スターバックス コーヒージャパン(2015年に上場廃止)の「経営上の重要な契約等」を解説していますが、本社とのフランチャイズ契約の条項が細かいところまで記載されていたそうです。(「経営上の重要な契約等」といえば、日産自動車の有報におけるルノーとの契約に関する記述は、内容に乏しく、不備なものだと思います。)

「「有価証券報告書」が実に面白い」というのはそのとおりかもしれませんが、面白いからこそ、株主総会前に提出・公表したくない会社が多いのでしょう。

電子書籍版。買いそびれた方はどうぞ。

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