会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査法人との蜜月に変化 交代実施企業、昨年1割増 東芝会計不祥事受け(日経より)

監査法人との蜜月に変化 交代実施企業、昨年1割増 東芝会計不祥事受け(記事冒頭のみ)

上場会社の監査人交代が増えているという記事。

「上場企業の決算書が正しいかどうかをチェックする監査法人の交代が相次いでいる。2017年は124社と前年に比べ1割(13社)増えた。東芝の会計不祥事を見抜けなかった新日本監査法人を代える企業が多いのが特徴だ。監査法人側から自ら契約を断るケースも出始めた。」

「目立ったのは、東芝を16年3月期まで担当した新日本を代える動きだ。

ファーストリテイリング第一生命ホールディングスなどがトーマツ、あずさなどに変更した。新日本からあずさに変更した三菱重工業は「海外対応などを強化するため」(小口正範最高財務責任者)とし、世界展開を加速する中できめ細かい海外監査に対応できる法人に代えたという。

企業は監査法人の変更を適時開示で公表するが、理由を「任期満了」などの表現にとどめる場合が多く、外部には内情が見えづらい。最近は監査法人から契約解除を申し出る例も目立ってきた。

東証2部に上場する自動車販売のバナーズは昨年10月、新東京監査法人が会計士の体調不良などを理由に監査を辞退したと発表。まもなく不適切な会計処理が発覚し、過去の決算訂正に追い込まれた。バナーズは「辞退と決算訂正は無関係」としているが、不適切会計を理由に監査法人が降りた可能性も考えられる。

東証2部に上場する半導体製造装置のアピックヤマダは昨年7月、不適切会計を機にトーマツから契約解除を通知された。内部統制が十分に改善されていないのが理由という。アピックヤマダ幹部は「非はこちらにあるが、大手法人で中小顧客を切り離す流れがあるのではないか」と話す。」

監査人の強制ローテーションの話にもふれています。例えば、オリンパス粉飾事件は、監査人を代えるのはあやしいというケースでしたが、最近は、ローテーションの議論が出てきたので、交代の理由がつけやすくなった面はありそうです。

今後の注目点は、東芝の監査人が交代するかどうかでしょう。あれだけ会社からぼろくそにいわれて、普通なら退任するはずです。

会計士の体調不良という交代理由は珍しいので、プレスリリースを見てみました。

公認会計士等の異動及び一時会計監査人の選任に関するお知らせ(バナーズ)(PDFファイル)

「当社の会計監査人である新東京監査法人から、業務執行社員の健康上の理由、及び監査チームの編成監査業務運営体制の見直しを行ったことにより、当社に対する監査業務を充分に行うことが今後困難になる可能性があるため、新たな会計監査人選定の検討を行うことの提案がなされ...」

「過年度の連結財務諸表等に関する誤謬の疑いの判明」及び「平成 30 年3月期第2四半期決算発表の延期」に関するお知らせ(バナーズ)(PDFファイル)

「当社は平成 30 年 3 月期第 2 四半期の決算発表及び同四半期報告書の提出に向けて準備を進め、また清陽監査法人は一時会計監査人就任からの非常に短い期間の中で、平成 30 年 3 月期に係る期首残高の監査と平成 30 年 3 月期第 2 四半期レビューを行ってまいりました。当該監査及び四半期レビューの中で、過年度の連結財務諸表及び財務諸表において、平成 29 年 3 月期決算の繰延税金資産(短期 36 百万円 長期 12 百万円)の回収可能性の判断に関連して重要な虚偽の表示が生じる可能性のある誤謬が存在する可能性があるとの指摘を受けております。」

繰延税金資産の回収可能性の話のようなので、それほど悪質な虚偽記載とも思えないのですが...

また、これは監査人交代で発見されたのでしょうか、それとも、前任監査人が発見して、体調不良になるくらいショックを受けたので、監査人を交代したのか...

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度決算短信等の訂正に関するお知らせ(バナーズ)(PDFファイル)

会社の規模からすると訂正額(純資産影響額で53百万円)は小さな金額ではありませんが、絶対額としてはそれほど大きくはありません。体調不良になるほどの訂正ではないでしょう。

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