会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業結合会計基準ほかの改正案公表

企業会計基準公開草案第26号
  「企業結合に関する会計基準(案)」
企業会計基準公開草案第27号
  「連結財務諸表に関する会計基準(案)」
企業会計基準公開草案第28号
  「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正(案)」
企業会計基準公開草案第29号(企業会計基準第7号の改正案)
  「事業分離等に関する会計基準(案)」
企業会計基準公開草案第30号(企業会計基準第16号の改正案)
 「持分法に関する会計基準(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第29号(企業会計基準適用指針第10号の改正案)
 「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」の公表


当サイトでもごく簡単に取り上げ済みですが、企業会計基準委員会が、企業結合会計基準ほかの改正案を2008年6月30日付で公表しました。昨年末に公表された論点整理をさらに検討し基準案・適用指針案としてまとめたものです。

改正される予定なのは、以下の基準・適用指針です。企業会計審議会から移管されるものもあります。

・「企業結合に関する会計基準」(新設)(現行の企業会計審議会意見書を移管)
・「連結財務諸表に関する会計基準」(新設)(連結財務諸表原則を移管)
・「研究開発費等に係る会計基準」(一部改正)(現行基準は企業会計審議会の意見書として残る。)
・「事業分離等に関する会計基準」
・「持分法に関する会計基準」
・「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」

具体的な改正内容は以下のとおりです(本公開草案の概要より)。

1.持分プーリング法の廃止

「会計基準のコンバージェンスを推進する観点から持分プーリング法を廃止することとし、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合はパーチェス法により処理するものとした。」

「取得企業の決定方法についても併せて改正」

2.株式を取得の対価とする場合の当該対価の時価の測定日

「企業結合日(又は事業分離日)における時価を基礎として算定」

3.負ののれんの会計処理

「負ののれんが生じた事業年度の利益として処理」

4.少数株主持分の測定

「全面時価評価法により評価」

5.段階取得における会計処理

「原則として、取得時点における取得の対価となる財の時価で算定するものとし、当該支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額は、個別損益計算書及び連結損益計算書のいずれにおいても損益として処理」

「取得企業の関連会社であった場合には、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって、被取得企業又は取得した事業の取得原価とした。」

6.在外子会社株式の取得により生じたのれんの会計処理

「外国通貨で把握し、決算日の為替相場により換算」

7.企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果の会計処理等

「企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果について、現行の会計基準では、取得対価の一部を研究開発費等に配分した場合には、当該金額を配分時に費用処理することとされているが、本公開草案では、当該会計処理を廃止」

「被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には、・・・原則として識別して資産計上」

8.その他(全部で7項目あります。)

「連結損益計算書における純損益計算の区分の中に、新たに少数株主損益調整前当期純利益を表示」

2010年(平成22 年)4 月1 日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用ですが、1年早期適用もできます(年度で判断するのではない)。2010年(平成22 年)4 月1 日以後開始年度から適用される項目もあります。

持分プーリング法の廃止は、それほど実務に影響を与えるとは思われませんが、それよりも、連結会計が大きく変わることが注目されます。連結実務の解説書は全面的に書き直されるでしょう。

なお、子会社株式の一部売却の処理の見直し(資本取引として扱い損益処理しない)は、この改正には含まれていません。

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