ASBJの金融商品時価算定に関する取扱い案により、金融機関が保有する変動利付国債の評価方法が変わるという解説記事。
「・・・リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)破たん以来の金融市場の混乱で、価格が大幅に下落している変動利付国債の評価損が、金融機関の決算を圧迫するのではないか、との観測も出ていた。変動利付国債の市中発行残高は約44兆円。中期債の代替として数兆円単位で購入していた国内金融機関もあるとみられているが、ある国内証券のストラテジストは「海外の保有は1―2割程度で、残りを国内の金融機関が保有しているとみられる」として、日本の金融機関の保有残高は35―39兆円にのぼると試算する。
公開草案によると、理論値の評価が可能な金融商品は「取引所もしくは店頭で取引されているが実際の売買事例が極めて少ない金融資産」としているほか「売り手と買い手の希望する価格差が著しく大きい金融資産」と書かれている。
同委員会の関係者はロイターの取材に対し「どの金融商品に理論値を採用するかどうかは実務の問題で、各企業と会計士の判断」と話しているが、変動利付国債については「流動性がないなら対象になるだろう。回号によって取引値を採用するか理論値を採用するかが異なってくるのではないか」と答えた。」
債券市場のことはよくわからないのですが、サブプライム関連の得体の知れない証券化商品と違って倒産することのない日本国が発行した債券が「実際の売買事例が極めて少ない」というのは、そのこと自体が問題のようにも思えます。また、理論値を時価として使えば評価減しなくてもいいというのは、理論値と取引価格に乖離があるからですが、理論値を大きく下回る価格で債券を買えるのなら、利益をあげられる可能性が非常に高い(国債なのでデフォルトになる心配もない)わけですから、金融機関はなぜそうした債券を買わないのでしょうか。
記事によると、実際に取り引きすると理論値との乖離が明らかになってしまうため、取引を手控えるという本末転倒の状況も生じているようです。
会計的には、記事の中でふれているように、本当に適切な理論値なのかを、よく検討すべきでしょう。
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