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「平成25年度税制改正意見・要望書」の公表について(日本公認会計士協会)

「平成25年度税制改正意見・要望書」の公表について

日本公認会計士協会が「平成25年度税制改正意見・要望書」を公表しました。

以下の5つを、重要要望事項として挙げています。

逆進性及び中小事業者の経営状況に十分配慮し、消費税に税収ウエイトを移行すること

・会計基準の国際的統一化に対応し、損金経理要件を中心とする確定決算主義の在り方を弾力的に見直すこと

・賞与引当金及び退職給付引当金の損金算入を税務上も認めること

・受取配当金を全額益金不算入とすること

・タックスヘイブン対策税制について、適用除外基準に関する法令上の規定を明確にするとともに、関係通達を整備すること

これらを含めて、全部で65項目あります。

(感想)

「消費税に税収ウエイトを移行する」というのは、会計士協会の専門性の範囲を超えているように思われます。もちろん、会計士が国家財政を議論してもかまわないのですが、専門家団体の意見として公表する必要はないのでは・・・。協会の中に財政の専門家がいるという話は聞いたことがありません。

消費税のウエイトを拡大した場合に予想されるさまざまな税務上・実務上の問題点を挙げて、その対策をあらかじめ検討することを求めるという趣旨であればわかります。

今回の意見書では、「逆進性」と「中小事業者」に関連付けて、以下のような論点を出しているようです。

・(複数税率制度について)「制度面においても、仕入税額控除の計算が、単一税率の場合に比べて複雑になり、また、その仕入税額控除の計算の検証可能性の観点からインボイス方式の導入等も検討課題となるとみられる。また、多くの事業者に対し、軽減税率対象品目とそれ以外の品目との仕分け、レジの改造や取り替え等といった経済的、事務的負担を増大させることが予想される。」

・(給付付き税額控除制度について)「逆進性の緩和には効果的であると考えられるが、各個人あるいは世帯等の正確な所得の捕捉が必要である。 そのためには、納税者番号制度の導入等の環境整備が必要であると考えられる。」

・「消費税率が上昇した時に、特に中小事業者において、市場競争力の関係上、これを販売価格に転嫁できず、経営が圧迫されることも想定され、政策的な対応が必要とされる場合も考えられる。」

(この意見書では、なぜか、歳入庁の設置については、全くふれていないようです。「税と社会保障の一体改革」の一環として、論点に挙げてもいいはずですが・・・。)

当サイトの関連記事(意見書の中でもふれている「我が国の消費税の現状と今後の方向性について(中間報告)」について)

消費税の“転嫁カルテル”やむを得ない措置(夕刊フジ)

自民、消費税10%へ引き上げ容認 社会保障合意前提に 3党協議(日経6月11日)

「自民党の町村信孝元外相は終了後、食料品や生活必需品への軽減税率について「10%以上からのテーマ」とし、今回の民主党との協議では議題にならないと説明した。」
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