モーリシャスで大規模な燃料油流出事故を起こした大型貨物船を手配していた商船三井が、環境保護などに使う基金の設立を中心に約10億円を拠出するという記事。社会的責任を果たすのだそうです。
「マングローブ林の保全や植林、座礁船が傷つけたサンゴ礁の回復、海鳥の保護などの財源として「モーリシャス自然環境回復基金」(仮称)を設立。数年間にわたり8億円規模を拠出する。座礁した貨物船を持つ長鋪汽船(岡山県笠岡市)も参加する意向という。他の法人や個人からの拠出も受け入れる方針だ。
事故を受けて、現地の非政府組織(NGO)やモーリシャス政府などが設立した別の基金に約1億円を拠出する。」
別の日経記事によると、「拠出金の勘定科目や各年度の計上金額は「まだ決まっていない」」そうですが、考え方はいくつかありそうです。
まず、現地の既存の基金に拠出する分は、基本的には贈与でしょうから、拠出した時点で費用にするのでしょう。しかし、後で実費を精算するという仕組みであれば、基金から実際に支出された時点あるいはそれが拠出者に報告された時点で費用計上という考え方もあるでしょう。
あらたに商船三井が設立する基金に拠出する分は、拠出しても単に資金が移動しただけでしょうから、費用にはならないのかもしれません。ただ、会社として何らかの支援を行う社会的義務があると認識していて、その金額は現時点では拠出予定金額程度ということであれば、その金額全額について、引当金を計上するべきでしょう(現地の基金への拠出分も同じ)。つまり、拠出した基金は資産計上し、実際にそこから支出が行われた時点で費用処理する、それとは別に、引当金を計上しておいて、基金からの支出の都度取り崩していくということになります。しかし、ほかにもいろいろな方法が考えられそうです。
商船三井、モーリシャス貨物船座礁で追加支援 基金設立など10億円(朝日)(ロイター配信)
「池田潤一郎社長は会見で、事故が及ぼした影響に「しっかり対応できたというところまで」支援をする考えを示した。
池田社長は「法的責任は一義的には船主が負うべき」としながら、法的責任だけでは全て整理できないとして追加支援に乗り出す考えを示した。支援額10億円は「様々なステークホルダーからの理解を得られる規模感」と説明した。
「(モーリシャスの環境や人々の生活に)『わかしお』が及ぼした影響にしっかり対応できたというところまで」支援を継続するとし、支援額は10億円を上限とはしない考えを示した。ただ「大きく桁が変わるとは考えられない」としている。」
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