会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

地中ごみ、過大に推計も=実際は3~7割の可能性-森友への国有地売却で・検査院(時事より)

地中ごみ、過大に推計も=実際は3~7割の可能性-森友への国有地売却で・検査院

「森友学園」への国有地売却問題で、会計検査院が検査結果を参院に報告したという記事。

「値引き額算定の基となった地中のごみの推計量について「十分な根拠が確認できない」と指摘。検査院の試算で、実際は推計量の3~7割だった可能性を示し、「算定の際、国側が慎重な調査検討を欠いていた」と結論付けた。」

なんだか生ぬるい結論です。民間の上場会社で、こんな不適正な取引が見つかったら、もっと徹底的に調べて、担当者に責任をとらせるでしょう。

「検査院は、国土交通省が撤去費用の積算に使ったごみ処分費が「どのような条件下の単価か示す資料はなく、詳細な内容を確認できない」とし、適正な値引き額は示さなかった。」

東芝の監査では、限定付なのに、監査人が虚偽表示の金額を示さなかったことを批判していた学者もいました。今回、大きな権限を持つ会計検査院がたったひとつの取引の適正金額を示すことができなかったのと比べれば、それなりによくやったといえるのではないでしょうか。

「売却に関わった財務、国交の両省には、学園との交渉記録などが一部しか残っておらず、十分な検証ができないと指摘。文書管理の改善も求めた。」

この証拠隠滅の責任追及も行うべきでしょう。また、検査院は、フォレンジックなどの手段を使って徹底的に調べたのでしょうか。

「検査院も『忖度』」=森友学園への国有地売却問題で弁護士ら-大阪(時事)

「売却に関わった近畿財務局職員らを背任容疑で告発した阪口徳雄弁護士らのグループは、検査院がごみ撤去費の適正価格を算定しなかったことについて、「政権に忖度(そんたく)している点があり、極めて残念だ。検査院自ら算定すべきだ」とのコメントを発表。大阪地検特捜部が厳正に捜査し、職員らを起訴するよう求めた。」

検査院の報告が不十分だという点はさておき、この国有地売却がおかしいという点は、読売や産経ですら認めているようです。

読売の社説。

森友検査院報告 不透明な値引きに疑念が募る

「算定根拠となる文書が、一部しか残っていないことも看過できない。掘削から処分までの工程にかかる「処分単価」の根拠は確認できず、検査院は、撤去費用の適正価格をはじき出せなかった。

森友学園側とのやりとりにも、不透明な部分が残る。詐欺罪などで起訴された前理事長の籠池泰典被告は、近畿財務局職員に「ゼロ円に極めて近い形で払い下げを」と要望していたとされる。

財務省は、昨年6月に売却が完了したのを理由に、学園側との交渉記録を廃棄したという。行政文書管理規則に沿った対応とはいえ、交渉過程を検証する手立てが失われたことも事実だ。」

産経の社説。

「森友」検査院報告 どんぶり勘定に疑念残る(産経)

「検査院によると、ごみの混入率について、試掘した箇所全ての平均ではなく、ごみが出なかった場所を除いて計算されたという。その方法では撤去費が高めに算定される。平均を求めるべきは、小学生でも分かる常識であろう。」

「国会では当時の佐川宣寿財務省理財局長(現国税庁長官)が、記録を「破棄した」などと詳細な説明を行わず、解明につながらないばかりか、かえって疑念と批判を招いた。」

自民党の大物も...

石破氏、佐川国税庁長官は「記者会見を」 森友問題巡り(朝日)

「石破氏は、財務省の担当局長として国会答弁で手続きの正当性を訴えてきた佐川宣寿・国税庁長官について、「政府として何の瑕疵(かし)もないのであればなおさら記者会見をして、納税者に広く、きちんとした説明をするのが国税のトップだ」と指摘。7月の長官就任以降、佐川氏が一度も記者会見を開いていないことを踏まえた発言で、「(税金を)払いたくないと納税者に思われたら、いかん」とも述べた。」

その佐川国税庁長官に、機関誌の冒頭の一番いい場所を提供し、論説記事を書かせていたのが、会計士協会です(「会計・監査ジャーナル」2017年12月号)。内容的には、国税庁の考え方をまとめただけのもので、参考にしたいひとは読めばよいと思いますが、透明性を推進する立場の会計士協会の機関誌冒頭を飾る人物としては最も不適切と思われます。

「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」(会計検査院)
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