日本公認会計士協会は、監査第一委員会報告第42号「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金に関する監査上の取扱い」の改正を、2007年4月13日付で公表しました。
この改正により報告書の表題が監査・保証実務委員会報告第42号「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」となります(公開草案のときは「役員退職慰労引当金」という言葉は入っていませんでした。)
この改正では、まず、租税特別措置法上の準備金と特別法上の引当金又は準備金について、ふれています。企業会計原則注解18の引当金の要件を満たすものは、引当金として負債計上、それ以外の利益留保性のものは、「特別法で規定する表示箇所に計上することになるが、特別法に表示箇所に係る規定がない場合は、純資産の部に計上することが望ましい」(特別法上の引当金又は準備金の場合)とされています。
利益留保性引当金の繰入・取崩については、「本来は会計上の損益としては認められず特殊な状況下で止むを得ないものとしてその計上が容認されている」として、損益処理を容認するかのような書き方になっています。協会として、(ライブドア事件でも問題となった)損益取引と資本取引の区分を厳密にやらせようとしているのか、それとも損益に紛れ込んでもしょうがないと考えているのか、どちらなのでしょうか。
また、新しく「引当金に関する事項」という項目が設けられています。そこでは、引当金に関する一般的な留意点が述べられ、いくつかの引当金事例が紹介されています。
その中では特に「役員退職慰労引当金」について詳細に議論しています。役員退職慰労引当金の設定の要否は任意に選択できるものではなく、要件・留意事項を満たす場合には、設定しなければならない性質のものであるとしています。このあたりは従来の実務の考え方(設定は任意)と異なり、この改正の最大のポイントといえます。
最後に「負債計上を中止した項目に係る引当金」という項目があるのですが、意味がよく読みとれませんでした。(商品券の処理の話のようにも読めます。商品券は、たしか、発行後一定期間が経ったものを負債から取り崩す処理をするはずですが、取り崩した後でも顧客はその商品券を使うことができます。それに対して引当すべきという意味なのでしょうか。)
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