会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

老人ホームの入居一時金、26億円消える 買収で発覚(朝日より)

老人ホームの入居一時金、26億円消える 買収で発覚

首都圏で有料老人ホームなどを運営する会社で、入居者から預かった「入居一時金」の大半が消失していたという記事。負債として計上すべきものを売上にしていた粉飾決算のようです。

「帳簿上、38億円余残っているはずの一時金が12億円余しかなかった。」

「未来設計の財務部長が、同社の持ち株会社を今年7月に買収した同業の「創生事業団」(福岡市)に内部告発して発覚したという。財務部長によると、未来設計の創業者の女性(70)の指示で、入居一時金を一括で売上高に計上して役員報酬などに使い、赤字経営の実態を黒字に見せかけていたという。

入居一時金は、入居者が長期にわたってホームで暮らせるように最初に支払うお金。未来設計では240万~1千万円の一時金で終身の入居が約束される。老人福祉法に基づく契約で、一時金は想定居住期間(60~84カ月)内の月々の売上高に計上すると定め、それより早く亡くなった場合などは、残った一時金は返還されることになっている。

だが財務部長によると、未来設計では今年8月期まで3期にわたり、新たな入居者から支払われた一時金を月々に分割せず、全額を売上高に計上する会計処理をしていたという。」

(補足)

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入居一時金を運転資金に流用 老人ホーム運営会社(産経)

「創業者は取材に「一部施設の一時金を新施設設立などの費用に使った。税理士に相談し、退去時に返還すれば法的な問題はないという認識だった」などと説明。報酬に関しては「正当な報酬」と主張した。

創生事業団側は今月、創業者に役員報酬が不当に支払われたなどとして、創業者ら前経営陣に約21億円の支払いを求める民事訴訟を東京地裁に提訴。粉飾決算に基づき買収契約を結ばされたとして警視庁に告訴状を提出している。」

粉飾決算は犯罪ですが、利用者からの入居一時金を流用したのが犯罪なのかはよくわかりません。法律や契約で、一時金の保全が要求されていたのに、していないということであれば、問題ですが、そういう拘束がなければ、事業目的の範囲内で自由に使えるのではないでしょうか。もちろん、返還すべき時に返還できなくなっているということは、資金繰りの計画が甘かったということで、経営責任はあるのでしょう。また、最初から返還するつもりがなければ、詐欺になるのかもしれません。
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