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株式市場の無秩序ぶり示した“駆け込み寺” 金融庁の処分を受けたウィングパートナーズ

株式市場の無秩序ぶり示した“駆け込み寺”金融庁の処分を受けたウィングパートナーズ(要無料会員登録)

先日金融庁から業務停止処分を受けた監査法人ウィングパートナーズを取り上げた記事。

「“問題企業”の“駆け込み寺”とばかりに、ウィングパートナーズは設立以来、20社余りの新規クライアントを獲得した。だが、それに比べ監査の体制はあまりに貧弱。日本公認会計士協会に届け出た今年4月末の概要によると、常勤会計士はたったの7人。」

「同監査法人の今後の行方は厳しい。監査法人は最低5人の会計士が社員(企業の役員に相当)に就任する必要があるが、3人の社員が今月15日から業務停止となることで、その要件を満たせなくなる。また、代わりの社員を立てられたとしても、運営は困難だろう。何しろほとんどの監査先で業務執行社員として監査報告書にサインをしてきた赤坂、吉野の両氏が、1年3カ月~1年6カ月もの間、監査業務に従事できなくなるからだ。」

「今後のもう1つの焦点はクライアント企業が“監査難民”と化すかどうか、である。金融庁企業開示課によると、金融商品取引法に基づく監査先は現在24社(大半が上場会社)。会社法の定めにより、ウィングパートナーズが業務停止となる今月15日以降、クライアント企業は別の監査法人を一時会計監査人に立てる必要がある。それを見つけられるかが、最初のハードルとなる。」

金融庁は処分の決定時期を7月にずらすなどして、監査難民化防止のため、一応の配慮はしています(3月決算であれば有報提出後に業務停止が始まる)。しかし、記事に書かれているとおり、監査法人の中心人物を長期業務停止により失い、法人の運営は相当厳しくなります。また、比較的短期の業務停止であるとはいえ、四半期レビューを期限内に終わらせることは(不可能ではないにしても)非常に困難です。金融庁が、監査法人ではなく、この監査法人と契約している上場会社をターゲットにしているとしたら、目論見どおりとなるのかもしれません。

ただ、会計士業界全体でみれば、今回の大不況の影響で、人員には相当余裕が生じています。まともな会社であれば、新たな監査人が見つからないということはないでしょう(大手は引き受けないと思いますが)。

(業界の心配事は「監査難民」ではなく会計士試験合格者の「就職難民」の方でしょう。)

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