伊藤忠商事の建機・海外プロジェクト部の元課長が、商品の実際の移動がない架空取引でモンゴル企業に500億円以上を支払っていたという記事。
「伊藤忠は1999年度に、モンゴルの企業から重機を仕入れ、モンゴルの資源関連会社に転売する取引を始めた。当初は実際に重機の売買をしていたが、資源関連会社の経営が悪化。
伊藤忠は重機を買っていないのに仕入れ先に代金を支払い、この代金が仕入れ先を経由して資源関連会社の資金繰りに使われる事実上の融資が2000年度から始まった。」
取引先の資金繰りを助けるため、仕入代金の支払いを仮装して、資金を提供していたという不正です。実質的に融資だとすると、本来は受取利息とすべきものが売上総利益に計上されていたことになります(計上のタイミングも架空売上時に一挙に計上されるため本来の計上時期より早い)。
三国間貿易取引に係る債権の回収遅延及び物流を伴わない金融支援取引について(PDFファイル)
問題の取引は、L/C(信用状)を使った取引ですが、この課長はL/C発行銀行に対し責任を免除することを独断で約束していたそうです。
問題の取引先グループに対する売上の累計は約537億円、売買益は約22億円です。その他にも同種のあやしい取引が同じくらいあるようですが、伊藤忠の規模からすれば、財務諸表利用者の判断に影響を及ぼすような大きな金額ではありません。
しかし、9月末でこの取引先に対して約103億円の債権残高があり、回収可能性が懸念されています。その他、同様の取引に絡む債権が約138億円あり、これらについても回収交渉を開始したとのことです。これらが焦げ付くと、大商社にとっても大きな損害です。
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