日本公認会計士協会は、新起草方針に基づく監査基準委員会報告書、品質管理基準委員会報告書及び関連する監査・保証実務委員会実務指針の新しい体系の案を、2011年10月24日付で公表しました。
具体的には、以下のとおりです。
・従来、未発効の新起草方針に基づく「中間報告」として公表してきた報告書に調整作業を施し、最終報告書に向けた公開草案として公表(新しいものも含めて全部で38本)
・監査基準委員会報告書には公表順に付す従来の番号に追加して、国際監査基準の体系に沿った報告書番号を付す。相当する国際監査基準がない我が国独自の監査基準委員会報告書は、900 番台とする。
(新番号の大項目)
200 -299 監査全般にわたる基本的事項と責任
300 -499 リスク評価及び評価したリスクへの対応
500 -599 監査証拠
600 -699 他者の作業の利用
700 -799 監査の結論及び報告
900 -999 その他の考慮事項
・各報告書の「定義」に含まれる用語に、その他、使用頻度が高く報告書の理解を促進するために必要と考えられる用語を追加して、用語集を作成。(新しい体系と用語集は、監査基準委員会報告書(序)「監査基準委員会報告書の体系及び用語」(案)として策定)
このうち調整作業としては以下のような作業が行われています。
・あとから公表された中間報告との整合をとるための調整
・用語の整理
例えば、
「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」→「適用される財務報告の枠組み」
「検出事項」→「発見事項」
「子会社等」→「構成単位(component)」
「コミュニケーション」→ 「伝達」(一方向の場合は伝達、双方向の場合にはコミュニケーション)
「時価」→「公正価値」(会計基準の方は「時価」という言葉を使っているので整合しなくなるのでは?)
「内部統制の構築及び維持」→「内部統制の整備及び運用」
などです。
適用時期については、報告書をA、B、Cという3つのカテゴリーに分けて決めています。
カテゴリーAは、公表済みの中間報告が、すでに、平成23年(2011年)9月30日以後終了する中間会計期間に係る中間監査及び平成24年(2012年)3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用されているものであり、以下の報告書が含まれています。
560 「後発事象」
700 「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」
705 「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」
706 「独立監査人の監査報告書における強調事項区分とその他の事項区分」
710 「過年度の比較情報-対応数値と比較財務諸表」
720 「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」
カテゴリーCは、今後検討を進める予定の特別目的の財務諸表などの監査に関連する報告書です。
カテゴリーBは、AにもCにも該当しない報告書(数はもっとも多い)であり、平成24年(2012年)4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用します。
これをもって、日本の監査基準も、国際監査基準にほぼ完全に準拠したものとなるということでしょう。もっとも、企業会計審議会が設定している「監査基準」との関係や、日本独自の「中間監査」の制度をどうするのかという課題は残っています。
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