会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業報告の現在とIFRS財団のサステナビリティ基準がもたらす将来(KPMGより)

The Future of ESG Is … Accounting? ― 企業報告の現在とIFRS財団のサステナビリティ基準がもたらす将来

2月に開催されたKPMGのセミナーでの基調講演の書き起こしです。当サイトでは、すでに、その動画(8月までの限定公開)を紹介しています。

「KPMGジャパンは、2月16日から18日の3日間、KPMGフォーラムをオンラインで開催し、基調講演として、ハーバード・ビジネススクール名誉教授で、オックスフォード大学サイード・ビジネススクール客員教授でもあるロバート G. エクレス氏に海外からご参加いただきました。エクレス氏は、サステナビリティ会計基準審議会(SASB)設立時の議長であり、国際統合報告評議会( IIRC)創設時からのカウンシルメンバーです。また、バロンズ誌によるESG領域を代表する30人にも選出されています。」

「今回の基調講演では、エクレス氏より、企業報告の現在と将来に関して、包括的かつ示唆に富む講演が行われました。そこで、講演内容の一部に加筆修正を施したものを、本誌面でも紹介させていただきます。」

講演では、サステナビリティ開示に関する歴史的経緯や、基準設定主体設立をめぐるIFRS財団の動きなどについて述べています。

さらに、今後の経理部門や会計専門家の役割についてもふれています。

「SSBが設立され、かなり迅速に取組みを進めると仮定しましょう。そうすると、皆さんの仕事は大きく変わるだろうと私は思います。現在、皆さんの多くは財務諸表に対して責任を負っています。内部か外部かを問わず、財務諸表に対して信頼を付与しています。外部監査人を雇い、この情報が最終報告書として公表されると(米国では10K)国によって呼び方は違いますが - 公的文書となります。歴史的に、経理部門は CSR部門やCSO(Chief Sustainability Officer)とはほとんど、またはまったく関係がありませんでした。しかし、財務報告に使用している基準を確立しているIFRS財団の下でサステナビリティ情報の基準が設定されると状況は変わります。経理部門は、財務情報と同様にサステナビリティ情報に対しても責任を負うことになります。これは意義深いことです。皆さんは「新しい言語」を学ぶ必要があります環境、社会、ガバナンスの観点からのマテリアリティについて学ばねばなりません。非財務情報のための内部統制や測定システムの品質についても考える必要があります。そのために求められる内部監査についても考えなければなりません。

繰り返しになりますが、統合報告のための仕組みそれ自体が、いまのところ、それほどしっかりしたものではないという課題があります。十分に確立したものではないのです。迅速にも対応できていません。企業内の非財務情報を単に収集することは困難なのです。しかし、基準ができることにより、容易になっていくでしょう。これらの基準をSAPやオラクルといったERPシステムに組み込むことも可能となるでしょう。

したがって、会計専門家の責任は劇的に増加していくでしょう。なぜなら、これまで長年にわたって伝統的に扱ってきた財務情報の質だけでなく、非財務情報やサステナビリティ情報の質に対しても責任を負うことになり、これらの情報がどのように連携するのかを考え、社会的パフォーマンスと財務パフォーマンス - 売上、収益、資本コストなど、指標は様々ですが - の関係を理解し、特定する責任を負うことになるからです。」

動画にも字幕がついています。文字だけよりはわかりやすいかもしれません。

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