オリンパス：１２日で異例の展開 企業買収「問題ない」（毎日より）

オリンパス：１２日で異例の展開　企業買収「問題ない」

オリンパス社長交代の関連記事。

「「私は適切だと思う。問題はない」。東京都内でこの日開かれた会見で、高山新社長はウッドフォード元社長が疑問視した投資助言会社への約６６０億円の支払いについて、第三者委員会の発足前にもかかわらずこう言い切った。また、ウッドフォード元社長の経営手法を「独断専行で、部下を恫喝（どうかつ）した」と強く批判する一方、菊川前社長の業績を「大変大きかった」と評価し、菊川前社長の擁護に終始した。」

「高山新社長は会見で「第三者委員会の結果が出ていないのになぜ不正がないと断言できるのか」との質問に、「最終的には第三者委員会の判断に委ねる」と歯切れの悪い返答を繰り返した。さらに、第三者委の発足時期についても明言を避け、真相究明への姿勢に疑問を残した。」

これでは事件は収まりそうにありません。

第三者委員会については、東証も「経営者から独立した者によって構成された外部組織による事実関係の究明とその結果の公表を要請」しています(一つ下の記事をご参照ください）。

この社長交代は、海外でもニュースになっているようです（グーグルで「olympus」と検索してみるといくらでも出てきます）。

その例の一つ
↓
Olympus chairman quits amid takeover scandal（英ガーディアン）

事件の概要を説明している箇所で会計監査に関する気になる記述がありました。

オリンパスの監査人であるＥ＆Ｙもまた、この取引について懸念を提起していた。2010年のジャイラス社の財務諸表の中で、Ｅ＆Ｙは以下のような結論を述べている。「Axam Investments Limitedとの取引に関し、同社がジャイラス社の関連当事者かどうかに関する意見を形成するのに十分な情報が取締役からわれわれに提供されなかったために、われわれに入手可能な監査証拠は限られていた。」

Furthermore, Olympus's worldwide auditor, Ernst & Young, has also raised concerns about the deal. In the 2010 Gyrus accounts, E&Y concludes: "With respect to the transactions with Axam Investments Limited, the audit evidence available to us was limited because the directors have not provided us with sufficient information to form an opinion as to whether Axam is a related party of the company."

監査人は、財務諸表を承認したが、「ジャイラス社とAxam社の関係の性質を判断することが可能であったならば、必要であるとされたかもしれない、あらゆる追加的開示の影響を除いて」という限定がついていた。

The auditors approved the accounts, but only with the qualification "except for the effects of any additional disclosures that might have been found to be necessary had we been able to determine the nature of the relationship between the company and Axam".

親会社の監査人である監査法人は、子会社であるジャイラス社の財務諸表（監査報告書付き）を閲覧しているはずですので、こうした限定が付いていること、そして、Axamという得体のしれない会社が絡んでいることを知っていたということになります。

この点が重要なのは、現在特に問題にされている優先株の発行とその後の買い戻し取引が、ジャイラスで行われているからです。親会社の監査人は直接はこれら取引をチェックはしておらず、子会社の監査人の手続や意見に依拠していたと考えられます。子会社監査人が異常だと指摘した事項（しかも監査報告書に限定をつけるほどの重要事項）について、親会社監査人（日本の監査法人）は徹底的に検討する必要が出てきますが、実際にはどのような検討がなされたのでしょうか。

オリンパス：新社長が一人で会見　企業買収の質問応じず（毎日）