2020年12月に国際監査・保証基準審議会（IAASB）が公表した監査品質関連の基準の翻訳が、日本公認会計士協会から公表されました。
以下の諸基準です。
・国際品質マネジメント基準第１号「財務諸表の監査若しくはレビュー又はその他の保証若しくは関連サービス業務を行う事務所の品質マネジメント」（原題：International Standard on Quality Management 1, Quality Management for Firms that Perform Audits or Reviews of Financial Statements, or Other Assurance or Related Services Engagements）
・国際品質マネジメント基準第２号「審査」（原題：International Standard on Quality Management 2, Engagement Quality Reviews）
・国際監査基準220（改訂）「監査業務における品質マネジメント」（原題：ISA 220 (Revised) , Quality Management for an Audit of Financial Statements）
従来「品質管理」といっていたのを、「品質マネジメント」という言葉に代えたようです。
（第２号「審査」という基準名は意訳しすぎでは）
金融庁の企業会計審議会では、これらをもとに、監査品質管理基準を改訂する作業中です。その内容を先取りしたい人は、読んでおいた方がよいかもしれません。ビッグ4監査法人は、すでに対応を進めていることでしょう。
国際品質マネジメント基準第１号の目次より。
（「leadership」をすべて、「リーダーシップ」と訳しているようですが、辞書を見ると、「指導力」という意味だけでなく、「指導者の地位」とか「指導部」という意味もあり、基準の中では後者の意味で使っているように思われます。たぶん、「リーダーシップを発揮する」というようなときの「リーダーシップ」ではないでしょう。）
監査品質管理に関係する資料（基準、解説動画など）を集めたページ。
↓
QUALITY MANAGEMENT（IAASB）
主な変更点。
・Increases firm leadership responsibilities and accountability, and improves firm governance （事務所の指導層の責任とアカウンタビリティー強化、ガバナンス改善）
・A risk-based approach focused on achieving quality objectives （リスクに基づくアプローチ）
・Modernizes standards to address technology, networks, and the use of external service providers （テクノロジー、ネットワーク、外部サービスプロバイダー利用に対応した基準現代化）
・Increases focus on the continual flow of information and appropriate communication internally and externally （情報が継続的に流れることと、内部・外部の適切なコミュニケーションへのフォーカス）
・Proactive monitoring of quality management systems and timely and effective remediation of deficiencies （プロアクティブなモニタリングと、適時で効果的な不備改善）
・Enhances engagement partner’s responsibility for audit engagement leadership and audit quality （エンゲージメント・パートナーの責任強化）
・Clarifies and strengthens requirements for a more robust engagement quality review （業務品質レビューをより堅固にするための規定明確化・強化）
