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「債券の保有目的区分の変更に関する論点の整理」の公表

論点整理

企業会計基準委員会は、「債券の保有目的区分の変更に関する論点の整理」を、2008年10月28日付で公表しました。11月4日までコメントを募集しています。

論点整理を公表する背景については以下のように述べています(プレスリリースより)。

「最近の金融市場における混乱を背景に、国際会計基準審議会(IASB)が、平成20年10月13日に国際会計基準(IAS)第39号と国際財務報告基準(IFRS)第7号を改正する「金融資産の振替」を公表したため、債券の保有目的区分の変更に関する質問が寄せられております。このため、当委員会では、我が国における金融商品会計基準及び金融商品実務指針を見直すかどうかの検討を行っております。」

論点としては以下の4つの項目が挙げられています。

【論点1】売買目的有価証券からその他有価証券への振替

【論点2】売買目的有価証券から満期保有目的の債券への振替

【論点3】その他有価証券から満期保有目的の債券への振替

【論点4】仮に我が国において保有債券の振替を見直した場合における改正した会計基準等の適用時期

現行基準では、いずれの振替も不可または原則不可です(詳しくは論点整理参照)。

各論点は論点整理上両論併記となっており、方向は明確ではありません。最近改正された国際会計基準を紹介したうえで論点を整理しているので、たぶん同じような規定となるのでしょう。論点整理の冒頭でも、現行基準の特徴として、債券の保有目的区分を厳格にすることにより判断の恣意性を排除することとしていることを挙げています。自由に振替を認めるような規定にはならないと思われます。

振替の際にどのような金額で振り替えるかという点も、検討を要すると思いますが、脚注で「振替の日の公正価値で振り替えられる」というIASの規定を紹介しているので、時価で振り替えるという点は動かないでしょう。遡及して振り替えることを認めるかという論点(論点4)とも関係してきます。

当サイトの関連記事(国際会計基準の改正について)

(補足)

新日本監査法人のサイトに「米国発金融危機を受けたIFRS金融商品時価会計の緊急改訂」(PDFファイル)という解説が掲載されています。保有目的変更に関する国際会計基準の改正について簡単に説明しています。
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