会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

日産自をSECが調査、米国の幹部報酬開示巡り-関係者(ブルームバーグより)

日産自をSECが調査、米国の幹部報酬開示巡り-関係者

米SECが、日産自動車の役員報酬開示について調査しているという記事。

「米証券取引委員会(SEC)は日産自動車が米国の幹部報酬を正確に開示していたかどうか調査している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

調査が公になっていないことを理由に匿名で語った同関係者によると、SECは日産の幹部報酬の開示が正確だったか、不適切な支払いを阻止するために十分に管理していたか調べている。」

「関係者1人によれば、SECの調査の焦点は日産の幹部報酬開示が米証券法に違反するかどうかだ。SECの調査は1カ月余りに及んだ政府機関閉鎖の影響で遅れたという。」

とうとうSECまで登場してきました。報酬開示そのものだけでなく、不適切支払防止のための管理まで調べるということであれば、内部統制の不備を調べるということでしょうから、ゴーン氏ら個人の問題というより、日産全体の問題ということになるでしょう。

Nissan Faces SEC Probe in U.S. Over Executive Pay(ブルームバーグ)

日本語版の記事では、「米国の幹部報酬」といっていますが、原文では、「whether Nissan Motor Co. accurately disclosed its executive pay in the U.S.」となっており、in the U.S.(米国における)は、「幹部」ではなく、「開示」にかかるようにも読めます。どちらなのでしょう。後者であれば、日本における容疑と同様に、日産本体の幹部(役員)の報酬の問題ということになります。

The Securities and Exchange Commission is investigating whether Nissan Motor Co. accurately disclosed its executive pay in the U.S., according to several people familiar with the matter, compounding the carmaker’s woes as it grapples with the aftermath of former chairman Carlos Ghosn’s arrest.

The U.S. financial regulator is examining whether Nissan’s executive-pay disclosures were accurate and whether the carmaker maintained adequate controls to prevent improper payments, the people said, asking not to be identified because the probe hasn’t been disclosed publicly.

そもそも、SECに権限があるのかが疑問ですが、ADR(米国預託証券)として日産株が米国で取引されていることで、SECは権限ありと考えているのだそうです。ただし、米国の裁判では、違法行為が米国外で起きた場合には、SECの管轄を認めない例もあるとのことです。

Nissan shares trade in the U.S. via American Depositary Receipts, which generally gives the SEC enforcement authority. U.S. courts have disagreed about whether the regulator has jurisdiction in certain cases where wrongdoing occurred abroad. The activities under scrutiny at Nissan to date took place mostly in Japan and Europe. But the SEC believes it has authority in this instance, according to one of the people familiar with the matter.

日産は、特捜部のいうとおり、役員報酬開示が虚偽記載であったと認めるのか、それとも、虚偽記載でないと主張するのか(その場合は、役員報酬に関する限りでは内部統制の不備はなかったことになる)、ぜひ明らかにしてもらいたいものです。

米証取委、日産を調査=現地幹部の報酬問題か(Yahoo)(時事通信配信)

(補足)

日経も「米国の幹部」への報酬の話だといっています。ただし、日産は調査の内容についてコメントしていないので、日産が確認した事実ではないようです。

日産、SECが調査 米役員報酬の開示めぐり(日経)

「日産自動車は28日、米証券取引委員会(SEC)から調査を受けていることを明らかにした。同社が米国の幹部に支払った報酬を正確に開示していたかを調べているとみられる。社内の管理体制についても調査の対象となっているようだ。」

「日産は同日、「SECから問い合わせがあったのは事実で、当局に全面的に協力していく」とコメントした。調査の内容については明らかにしなかった。」

Nissan says co-operating with SEC inquiry after report of probe on exec pay(CNBC)

Bloomberg, citing sources, said the SEC is examining whether the company maintained adequate controls to prevent improper payments.

Separately, the Wall Street Journal reported that the SEC also sent a request for information to Ghosn. A representative for Ghosn could not immediately be reached for comment.

コメント一覧

kaikeinews
日産はたしか米国では上場していないはずです。(上場していたら当然SECの監督下にあるので、日本の特捜部も遠慮して、虚偽記載で摘発などしなかったでしょう。)

しかし、ブルームバーグの記事によると、米国で日産株が店頭取引されているため、SECに権限があると判断して、調査に入ったようですね。店頭取引とはいえ、米国で取引されている以上、虚偽の情報により米国の投資家が損失を被るのは許せないという理屈なのでしょう。

調査のポイントは、マネロンもあるかもしれませんが、ブルームバーグの記事を読む限りでは、役員報酬の開示が第1のようです。

そして、役員報酬といっても、どこの役員報酬かということですが、「米国における」はやはり開示が行われている場所のことを指していて、日産の米国の役員のことではないように思われます。補足で付け加えたCNBCの記事では、ゴーン氏にもSECから問い合わせが送られたとされていますので、米国の役員ではなく、日本で問題になっているゴーン氏の報酬を調べていると考えるのが自然です。

とはいっても、日経も、その他のメディアも、「米国の幹部に支払った報酬」のことだといっており、まったく自信はないのですが...
ある経営コンサルタント
http://aruconsultant.cocolog-nifty.com/blog/
”whether Nissan Motor Co. accurately disclosed its executive pay in the U.S”について、
私は、”in the U.S.”は”disclosed”にかかっており、”executive pay”でOne Wordとして読んでしまうのです。
通りすがりの元会計どかた
ようやくアメリカSECきたーって感じですね。
Twitterで某有名人がつぶやいてましたが、SBLCを道具に使った悪質なマネロンなので、米国上場している以上はSECも見過ごさないでしょうね。
通りすがり
SECの行動については批判しないんですね。
典型的日本人ですね。
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