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テラ株式会社株式に係る偽計事件の告発について(金融庁)

テラ株式会社株式に係る偽計事件の告発について

金融庁の証券取引等監視委員会は、2022年3月16日、テラ株式会社株式に係る偽計事件の嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発しました。

犯則事実(これだけのボリュームでもひとつの文です。)

「犯則嫌疑者Aは、東京証券取引所に上場していたテラ株式会社(以下「テラ社」という。)が実施する第三者割当増資の割当予定先であるCENEGENICS JAPAN株式会社(以下「セネジャパン社」という。)の取締役であったものであるが、前記第三者割当増資に関し、セネジャパン社がその払込資金を確保している旨の虚偽の事実を公表させるなどしてテラ社の株式の株価を上昇させるとともに、公表から払込期日までの間に、当該割当予定のテラ社の株式の一部譲渡、あるいは担保に供することを約束するなどして調達した資金を払込みに充ててテラ社の株式を取得しようと企て、テラ社が、同社取締役会において、令和2年11月13日を払込期日、セネジャパン社を割当先として、発行価額総額約35億円の普通株式585万株を発行することを決議した旨公表するに際し、真実は、同年9月中旬時点における株式会社トレド(以下「トレド社」という。)名義の普通預金口座の預金残高が約50万円であり、弁護士が前記普通預金口座の預金通帳の原本を確認した事実もなく、セネジャパン社が払込みに要する資金を調達できる具体的な見込みがないにもかかわらず、同時点での前記預金残高が約75億円であり、そのことを弁護士が前記預金通帳の原本で確認したとして、セネジャパン社がトレド社からの借入金により払込みに要する資金を調達できる具体的な見込みがあるかのように装った上、これを信じたテラ社役職員をして、同年10月28日、TDnetにより、セネジャパン社がトレド社からの借入金による資金調達が可能である旨の虚偽の内容を含む公表を行わせ、もって、有価証券の取引のため、及び有価証券の相場の変動を図る目的をもって、偽計を用いたものである。」

これによると、テラ社役職員は、嫌疑者による偽装を信じてしまった(知らなかった?)ということになっているようです。

当サイトの関連記事(嫌疑者の逮捕時)

「コロナ治療薬開発」のウラで起きた経済事件、カギ握る“疑惑”の「預金通帳」の「中身」(現代ビジネス)

「犯行に使われた偽造品は、どんな“代物”なのか。

手元に、メガバンクの「預金通帳」、「振込受付書」、残高を証明する「ご利用明細」がある。後述するが、テラ事件に絡み、捜査当局などに告発を続けながら、昨年6月8日、自殺したmaneoマーケット創業者の瀧本憲治氏(49)が、「絶対に事件化させるべき詐欺、偽造の証拠です」と、筆者に託してくれたものだ。

テラは、2020年10月28日、セネジェニックスジャパンを引受先に、約36億円の第三者割当増資を実施すると発表した。そのうち10億円は、セネ社が引き受けた私募債と相殺されるので調達金額は約26億円。それが新型コロナ治療薬に投じられるのだから、当然、買い材料となる。

その資金提供先が、都内豊島区に本社を置く株式会社トレドで、代表取締役の××××容疑者(2/25逮捕の1人)が関係先から調達することになっており、元高裁長官の著名弁護士がその保証をしていた。

ところが、預金通帳のコピーやご利用明細の提供によって「あるはずの増資資金」が、なかなか振り込まれない。最初の振込予定日の20年11月12日は、<トレドから融資がされず、11月13日になって融資がされたとのことです。これによりCENEGENICS JAPAN株式会社からの払込金額の送金手続きの遅れが生じ、11月13日の着金が確認できませんでした>(テラの14日付け適時開示)ということで、11月30日に払込期日は延期された。

だが、払い込みはいろいろな理由をつけて延期を続け、結局、12月16日に入金されたのは、わずか100万円という情けなさだった。預金通帳、11月13日のトレドからセネ社への26億円の振込受付書、同16日に返金されたセネ社からトレドへの26億円の振込受付書もすべて偽造。トレドの口座には、実際には数十万円の資金しかなかったというのだから無理もない。」

著者が利用されたメガバンクに問い合わせをしたそうです。

「個別取引、セキュリティの観点から「回答は差し控えさせていただきます」ということだったが、一般論として「複写の資料では偽造か否かの判断は困難」で、「第三者への情報開示は行っていない」という。

つまり、「通帳」「振込受付書」「残高明細」を信じてはいけないということである。偽造は容易だし、残高はたとえ偽造ではなくとも、印字した時点のものでしかない。従って、本当に確認しようと思えば、銀行が提出に応じる口座名義人(本人)を同道のうえ、通帳確認をするしかないのである。」
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