会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ゴーン氏不正疑惑、日産は取締役への報告書全文提出を保留(WSJより)

ゴーン氏不正疑惑、日産は取締役への報告書全文提出を保留

日産自動車の9日の取締役会で、ゴーン氏らの不正疑惑の報告書全文が取締役に提示されなかったという記事。

「取締役は9日午後に開催された取締役会で報告書の全文を受け取ると想定していたが、実際に渡されたのは意外にも5ページの概要のみだったという。報告書は昨年着手したゴーン被告の不正疑惑に関する調査結果で、170ページにわたる。

なぜ全文を提出しないのかとの質問に対しては、社内で報告書への最終承認が下りたのが前日であり、コピーが間に合わなかったとの説明があった。この関係者らによると、11日時点でも報告書全文はまだ取締役の手に渡っていない。」

「内情に詳しい複数の関係者によると、日産は、報告書全文を取締役に提出した場合に、メディアに内容が流出する事態を懸念していたようだ。 関係者の1人は、日産側はそれまで、調査結果について取締役会に内容を説明していたと語った。」

「報告書全文と概要の最大の違いは、言及されている人物の数だ。関係者によると、報告書の全文では、不正行為に関与した人物やこれを阻止しようとした人物についての言及があるが、概要ではこうした内容は含まれていなかった。」

資料が分厚ければいいというものではないにしても、ちょっとひどいのでは。やはり、取締役会で詳しく議論したくなかったのでしょう。

また、同社のサイトを見ると、役員は取締役は11人、執行役は9人(うち2人は取締役兼任)だけです。コピーが間に合わないということはなさそうです。

調査担当者の辞任について。

「取締役会は、内部監査・コンプライアンス(法令順守)を担当していた日産幹部のクリスティーナ・ムレイ氏についても尋ねた。ムレイ氏は最近、辞任している。取締役会に対しては、ムレイ氏は調査終了に伴い退社を望んでおり、転職したとの説明を行っていたようだ。ムレイ氏からはコメント要請に対する返答が得られていない。」

その他日産関連記事。

西川社長は「ダブルスタンダード」 ゴーン氏の弁護士批判(NHK)

「これについてカルロス・ゴーン元会長の弁護を担当する弘中惇一郎弁護士が10日夜、報道陣の取材に応じ、「同じCEOの不正報酬の問題で、ゴーン元会長は逮捕され、100日以上勾留されたのに西川社長は『返せばいいだろう』で終わることなのか。一種のダブルスタンダードだ」と批判しました。

そのうえで「株価連動報酬の問題は元会長の共犯として起訴されたグレッグ・ケリー前代表取締役が月刊誌に書いて、明るみに出たもの日産の自浄作用によるものではない」と述べました。」

これとほぼ同趣旨の海外メディアの記事。

Nissan, Ghosn and Japan's Legal Double Standards(ブルームバーグ)

Last week, the results of an internal investigation revealed that Saikawa had received compensation that was … well, whaddya know? … inflated. According to Bloomberg News, he was overpaid by $841,000 via stock appreciation rights. Three other executives were also overpaid — including, irony of ironies, Hari Nada, the former head of Nissan’s CEO office, who was the first to raise questions about Ghosn’s compensation.

In response to all of that, did a whistle-blower inside Nissan launch a secret investigation? Did anyone turn over evidence to prosecutors? Were Saikawa and the others arrested, tossed in jail and interrogated endlessly? You know the answer to that: Of course not.

Instead, the Nissan board unanimously voted to demand Saikawa’s resignation. That’s no doubt humiliating. But it’s not even remotely on par with what happened — and is still happening — to Ghosn.

Based on what we’ve seen with Nissan over these past months, I’d say there is another distinction the Japanese criminal justice system makes: Regardless of the severity or nature of a crime, if you’re a non-Japanese executive accused of wrongdoing you’re at risk of getting tossed into prison.
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