政策保有社外役員工作の企業価値に対する効果を分析した論文。
「政策保有社外役員工作」とは、あまり聞かない言葉ですが、「社外役員(社外監査役および社外取締役)の半数以上を、株式の政策保有先または取引先出身の社外役員にすることによって、監査役の半数以上を社外監査役にする会社法の規制や複数の独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンス・コードの規制を骨抜きにすることを指す」のだそうです。
「概要」より。
「2018年9月時点で、政策保有社外役員工作企業の割合は20%、会社数は348社である。2011年-2018年の東証一部上場企業役員データを用いて分析した結果、企業価値が低いほど、政策保有割合が高いほど、外国人機関投資家の圧力が弱いほど、社外役員のうち政策保有先等の出身者が半数以上占める傾向にある。このことから、政策保有社外役員工作は社外役員を義務づける法規制を骨抜きにして敵対的買収策としての持合や政策保有を補強するものだといえよう。また、これは、独立社外取締役を恐れているあまりに経済界が長年社外取締役を義務づける法改定に反対していた事実とも整合する。内生性を考慮しても、政策保有社外役員工作の企業価値を損ねる効果は統計的に有意であり、政策保有社外役員工作企業の株価が7%〜13%低い。」
たぶん、インチキ社外役員が多いと企業価値が損なわれるというよりは、ダメな会社だから、インチキ社外役員でお茶を濁すのでしょう。
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