JFEホールディングスが、ゴミ処理プラント事業で2008年3月期に約500億円の特別損失を計上する見込みであるという記事。
会社の四半期概況では以下のように記載しています。
「・・・JFEエンジニアリング㈱の子会社であるJFE環境ソリューションズ(株)が長期契約を締結し、運転・保守を行っている施設のうち数件において、契約期間を通じて将来損失が見込まれることとなったため、当期に一括して前倒しで引当てることといたします。これは、将来に向けた一層の財務体質の健全化を目的としたものであり、これにより、先行きのリスクに対する透明性の確保を図ってまいります。」
非常に健全な処理だと思いますが、会計上は、将来の営業損失を前倒し計上すること(これは認められない)との区別を明確にする必要があります。この会社のケースは、保守サービスを提供する(おそらく解約不能な)契約があるので、引当処理が必要なのであって、単にある事業の来期の業績が赤字になるから、引き当てするということだと、利益操作になってしまいます。
また、日本の会計基準上、こうした引当が必須なのかどうか、はっきりしていません。500億円もの引当が、会社の任意でできるということだと、会計基準の質を問われることになります。企業会計原則注解18もそろそろ耐用年数が来ているのではないのでしょうか。
ところで、この会社は第3四半期では500億円の特別損失を計上せず、年度決算で計上するようです。しかし、長期契約を締結したのが昨年12月以前であり、かつ、金額の合理的な見積りが現時点で可能であるならば、年度決算ではなく第3四半期に損失計上すべきかもしれません。金融商品取引法上の四半期報告制度導入後なら、計上時期を第3四半期にするか、年度決算にするかで大問題となったことでしょう。
平成20年3月期 第3四半期財務・業績の概況(PDFファイル)
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