会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

焦点:米大手銀の第3四半期決算、会計要因が利益かさ上げか(ロイターより)

焦点:米大手銀の第3四半期決算、会計要因が利益かさ上げか

米国の大手金融機関が「債務評価調整額(DVA)」による多額の利益を計上しているという記事。

「米JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)は13日発表した第3・四半期決算で、利益の約4分の1が債務評価調整額(DVA)として知られる会計上の要因だったことを明らかにした。DVAは投資家が企業の社債に関し、より大きなリスクを織り込んだときに発生し、負債の減少につながる紙の上の利益だ。

JPモルガンの場合、現金を創出する事業からではなく、会計上の要因から多額の利益が出たことに失望した投資家が同社株を売りに出し、13日のニューヨーク証券取引所のJPモルガン株は4.8%下落して取引を終えた。アナリストは、ウォール街の他のライバル行も似たような内容の決算を発表する可能性が高いとみている。」

記事の原文によると、DVAというのは、debt valuation adjustmentsであり、金融負債(debt)の時価評価(valuation)による利益です。(今回は欧州金融危機により)自社の信用リスクが高まったため、金融負債の時価が下落します。それを会計上も時価評価することにより利益が発生します。

「DVAに関連する会計基準であるFAS159は、一部の資産・負債の時価の変動を記録するよう企業に求めることで、バランスシートの透明性を高めようとする当局の取り組みの一環だが、企業の財務諸表の解釈が混乱するリスクもある。実際のところ、経営破綻したリーマン・ブラザーズは破産申請のわずか数日前にDVAによる14億ドルの利益を計上していた。」

この記事を読むと、アナリストなどには評判が悪い会計処理のようです。

「投資家やアナリストはもちろん、DVAを良いことと考えておらず、債務評価の変動と銀行が稼ぐ手数料収入や資産価値の変動を同等のものともみなしていない。

RGLフォレンジクスのダラス事務所で企業アドバイザリーサービス担当ディレクターを務めるマシュー・モリス氏は「DVAは会計上の雑音(noise)と考えられている。企業が弱体化すればプラスになるので、常識に反している」と指摘した。」

こういう場合には、資産側の状態も悪化して、時価評価により損失が生じるわけですから、それを緩和する効果はあるのでしょう。

原文はこちら

Analysis: Wall Street banks profit from their weakness(ロイター)
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