<9月9日(水)>
乾ききったアスファルトが濡れたのはいつ以来だろう。朝方、短時間ではあったけれど雨が落ちた。そのせいか気温も下がり、流れる風も涼しげで気持ちいい。
回復を見せた秋の空は青く光も強烈だ。窓の外、なんとも弱々しい蝉の声。燃え尽きるまでがんばれ。
ジャスト12時、ケータイが鳴った。連日の署長だ。ラーメン屋の『OSOMATSU』に行こう? あいにく怪人クンはランチを済ませてしまったんだ。悪いな。それでも署長は現れた。事務所の前で10分ほど立ち話。
「夜は空いてるぞ。どうだい、軽く1杯?」
「いや。用があるからダメなんだ、オヨヨ」
ふーん。
署長は自転車にまたがり走り去った。人それぞれ好みはあれど、そんなにいいかな? 極マズの殿堂が。懲りないM男だぜ。
そのメールがまぎれ込んだのは、西日が差した頃だった。
09年9月9日。まさしく〝999(スリーナイン)の怪〟ともいえる出来事。
(●●ちゃん、お疲れさまです。集合は18時半、○○○○○の横でいいかな?)
聞いたことのない女の名前に、やさしいメッセージが続く。差出人は? ムフフ…。
文面からは同伴の匂いがプンプンしてくる。
けど彼、明らかに送り先を間違えてるな。放っておいたら今宵、約束の彼女に会えないままだぞ。でもせっかくだ。遊んでしまえ。怪人クンもワルよのう。
しばらく経って〝なりすまし〟のレスをした。
(●●です。わかったよ。その時間に○○○○○へ行くね)
心はあなたよ! お決まりのフリフリサインは忘れない。絵文字もそこそこに、真っ赤なハートマークを添えての送信だ。しかしなぁ。野郎に対してそんなものを付けるとは、夢にも思わなかったよ。
2時間後―――。
男から返事がある。
(連絡を待ちわびながら、柄にもなく誰かさんみたいにイラついてしまったよ(笑)。そっちへ出していたとはね…×××)
これを最後にメールが途絶えた。ということは、無事相手に会えたらしいな。
よかったじゃないか、オヨヨ。
※扇(写真)の向こうに、ともだち。