怪人クンのムフフ日記

ムフフ、ムフフ、時々オヨヨの〝怪人クンワールド〟炸裂!
あの大物も、この人も。愉快な仲間続々登場!

客前逃亡の女

2008年12月23日 | Weblog
<12月22日(月)>

〝毒女〟カゲキ。半年前の初遭遇を加えれば今夜が3度目、となるはずだった。
ここらで食事なんかしてみようかな? 当初はそんなことまで考えていた。けど、4日前に怪人クンのほうから同伴をキャンセル。ちゃんとした理由はない。ただなんとなく、気分がそれを言わせた。「早い時間は用事が入った。21時頃店へ行く」と告げるにとどまった。ヤツも「待ってるよ」の返事だ。
遊び方は自由。でもやはり、ある程度相手のことを見極めてから誘うのがセオリーかもね。怪人クンはノリで動く。キャバ嬢との出会いは勢いというものがあるから2回目で食事、なんてこともざらだ。かつて〝オヨヨ〟の署長からも、その点については何度か指摘されたことがあったなぁ。ムフフ…。

さて。続きを書くためには少し説明しないといけないことがある。
12月の頭にヤツがメールで、(今働いてる店はあさってで辞める。来週から××へ移るよ)と知らせてきた。それから2週間が経った今夜、怪人クンはヤツの新天地へ足を運ぶことにした。
時計の針は20時54分。冬至の風は強烈だった。歩道に並んだ自転車がガタガタガタ、音を立てドミノみたいに崩れていく。それを横目に南の方角を目指す。
ネオン街のメインストリート。祝日を前に、街はなかなかの賑わいを見せていた。着いたぞ。雑居ビルの袖看板。「3」のフロアにカゲキの言っていた名前があった。
ためらいもなくドアを開ける。横一列、中央のソファーに腰掛けていた女のコ数人が一斉に怪人クンを見る。こういうの、結構恥ずかしい。応対したのは男性ボーイじゃなく、30代くらいの女性だった。ママなのか?
「××ちゃんいます?」
カゲキの顔が見当たらないので、席へ通されるより先に訊ねた。次の瞬間、ママらしき女性の言葉に耳を疑った。
「××ちゃんですか?」
一瞬考え込むようなそぶりをしてからの「いませんけど」だ。このときの彼女の表情が、〝そんなコ知りません〟にも映ったのが気になった。
「いない?」
ポロリ、口を突いて出たセリフはボリュームも上がっていた。どうなってんだ? 3秒ほどの間が開いてから「いつ来るかわからないんですよ」と彼女。今夜の出勤時間のことか? はたまた不定期出勤をいうのか? どうやら後者のようだ。どちらにしてもイメージダウン。こういうことは店にとってもマイナスだ。
そもそも、女のコあっての店か? 店あってのキャバ嬢か? 誰が悪い? そういうシステムを作ってしまった管理者の責任か? 本人の人間性か? ハコの女王様は経営陣ではなくやはり嬢たち? 商品がなければ店は成り立たない。わがままの極み。立場逆転。応対した女性の表情からも〝迷惑〟の文字がのぞく。この時点では店そのものが被害者になっている様子だった。
ふと甦る昭和の記憶。それは1980年代真ん中の、くしくも暮れだった。〝超獣〟ブルーザー・ブロディはビッグマッチを一方的にボイコット。敵前逃亡したことがある。
けど、カゲキのは〝客前逃亡〟といっていい。ケータイの着信をレッド・ツェッペリンの♪『移民の歌』、ブロディのテーマ曲に設定している。だからって、何もここまで重なり合わなくたっていいよ!

ビルの外へ出る。彼女に即電話を入れるもつながらない。メールにチェンジだ。
(行くと言ったのに、いねぇとはどういうことだ!? ナメてんのかっ!?)
怪人クンの怒りをぶちまけた文章。5分後もう一度電話。トゥルルル…。
『留守番サービスセンターに接続します』
冷たい女の声。どこにあるんだ、そのセンターとやらは? 連れてけよ!
もういい。放っておけ。切り替えが大事。いつものカラオケパブで23時まで。
深夜。布団に入ってしばらくしたとき、あの曲が鳴った。何を書いてきやがった? 売り言葉に買い言葉か? 体を起こしケータイを手にした。明かりの消えた部屋で、ディプレイだけがまぶしい光を放つ。
(あそこには行かないよ。連絡がないからさ)
話が見えない。正式に出勤したわけじゃないのか? 1日体験。いわゆる〝一体〟(イチタイ)だったのか? なら最初からそれを言え!
待てよ。お前の言う『連絡がない』とは? 店側からの採用受諾をもらえてないということか? カゲキという女、さっぱりわからない。それで結局、今働いている店は? 肝心なことが書かれてねぇじゃねぇか!
もう誰も信じねぇ。金輪際、キャバ嬢とは前もっての約束なんかしねぇぞ。バカヤロー!
多くの謎を残したまま、現在(23日、15時)もなおヤツからの返信はない。
カゲキ、キサマ! いったいお前はどこにいる!?


※カラオケパブのママヘと、蒼井優主演で今年ドラマ化もされた『おせん』の原作者がプレゼントしてくれた1枚だそうです(写真)。日本テレビで放送された『おせん』は、怪人クンも欠かさず見てました。


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