この日は例の彼と一緒ではない。母と妻と我輩の三人である。とは言え古墳探検隊は我輩一人である。幾度も車を走らせ、停めては写真を撮るが、あとの二人は絶対に車から降りてこようとはしない。車の中の二人はどうせ我輩の悪口を言っているのであろう。当然に車の運転は我輩だから「行きたくない」と言ってもそれは蟷螂の斧である。
母が「何処行くの」と強い口調で言うのだが、おかまいなしに我輩は「うーん、ちょっとね」と言っては道を逸れるので諦めてしまったようだ。二人で顔を見合わせて「しょうがないか。どうしようもないね」と目で話をしている。
