山陽道(西海道)を久しぶりに歩いた。下関、長府、小月、埴生そしてここは厚狭である。電車に乗って厚狭駅下車。すると駅前には三年寝太郎が出迎えてくれる。線路と平行に東西に延びる街道が残っており、左右どちらに行っても殆ど真直ぐな道である。駅から右に折れて歩くとすぐにこの光景となる。
昭和が残る町の風景である。かの時代的な建物はほとんど残ってはいないが、しごく当然であろう。後背地に石灰岩を産出する美祢を擁して、活気が溢れた町であったろうが、いまは見る影も無い。ただ銘菓「ダイナマイト羊羹」という看板があって、当時の名残を思わせる唯一のもののようだった。
人も車もほとんど通はない。歩くには持って来いではあるが、少し寂しい感がある。しかし、いまだに残るこの光景は、我々昭和半ば産まれの人間にとっては懐かしさの拠所である。地方の町が整備の名の下に画一化して特長の無い町へと改造されてしまう。ここはまだそのようになっていないだけでも貴重なのかもしれないが。
ただ街道沿いの建物が消えて空き地が目立つ。これから先どのように変化していくのだろうか。