ゴールのVサインが自然と出てしまった。それまでは最高三泊四日だったものだから自然に出たのである。あとで考えたら自分でも恥ずかしく思ってしまったものだ。そのころ流行だったもので、自分では流行などに感化されないと思っていたからだ。
その夜母と愛犬と無事帰宅の記念写真だ。愛犬は興奮している。
今は亡き父との記念写真だ。父が恥ずかしさを抑えてはにかんでいるように見える。これまで生きてきて父に酌をするなど初めてなものだから、する方もされる方も恥ずかしいのである。男親の典型だな。
母にしろ、父にしろ、愛犬にしろ、我輩も笑顔がいい。懐かしくて涙が出そうだ。
私の両肩には肩章のようなものがついているが、ガーゼに絆創膏なのである。
火傷の痕である。ランニングシャツで走ったものだからひどい日焼けになったのである。ある温泉で身体を洗ったとき黒く小さいものがタオルについてきた。そのときは判らなかったのだが湯に浸かると肩に沁みるのである。ようは水ぶくれになったところをタオルでこさいでしまったために皮が剥けたのである。風呂から上がった時に温泉の方が見かねて治療してくれたのである。よほど激しかったのだ。