播州赤穂駅に着いた途端、写真の彼が駆け寄ってきた。泊まる所が決まっていなければ自宅に泊まらないか、と言った。一瞬その言葉の意味がわからずに狐につままれた顔になったのである。再度彼が 「家に泊まってくれたら光栄です。友達を呼びますので今までの話をして下さい」
我輩はその申出を有難く受けた。ところがである彼の自宅は赤穂岬の中腹にあった。彼も自転車だ。しかもレーサーに乗っている。後をついて行くのだが速い速い。速くて周囲を見回しながら走るなどとてもではない。ついて行くのが精一杯だった。なんでこうしてまで泊まりに行かねばならないんだ。
お邪魔すると食事はもちろんビールまで用意してある。彼のお母さんはいつものことのような顔で出迎えてくれた。「いや、ビールまでは」と言うと「遠慮してるでしょ」「はい」「遠慮しないでどうぞどうぞ」 たらふく食って話をして笑顔で眠ってしまった。
翌朝、我輩が小豆島に渡ると言うので彼は日生まで同行してくれた。ところがだ,彼はレーサーだ。飛ばす飛ばす。冗談じゃない。ついて行かれない。しかし、道は一本だ。少々遅れても問題は無い。
日生港での写真である。