昨夜の雨が止んだ朝早く、丸さんが迎えに来てくれた。今日は丸さん夫人と同じ名前の山に4人で登る。8時半に大神神社に着いたが、すでに二ノ鳥居前の駐車場はほぼ満車の状態だった。
幸いガードマンが空いていたスペースに誘導してくれて、鳥居を潜って冷気の漂う杉並木の参道を進み、
拝殿からお山を拝む。
祈祷殿の前を通り、くすり道を狭井神社に向かう。砂利道の両側には、いろいろな薬草や薬木が植栽されていて、製薬会社の寄進した燈籠が並ぶ。祈祷殿の上から続く道に出て左折、摂社の磐座神社の前を通って
右に折れ狭井神社の鳥居を潜る。左手の辨天池の畔に見事なササユリが咲いていた。
狭井神社は大物主命の「荒魂(あらみたま)」を祭神としている。災害の折に荒ぶる神として猛々しさを発揮し、祭祀によって「和魂(にぎみたま)」に変じるといわれている。崇神天皇のとき全国に疫病が流行したので、大物主命を祀ったところ疫病は終焉したことから「薬の神様」として信仰されている。大神神社と同じく三輪山そのものが御神体なので本殿はないが、拝殿は現在屋根の檜皮葺き替えが行われていて覆いが掛けられている。
参拝して左側の社務所に登拝の申し込みに行くと、右側に見えるテントの方で受付するように言われた。「ささゆり園」が開園中の土曜日とあって、いつもより人出が多いようだ。記帳を済ませ鈴の付いた襷を掛けてお祓いをする。
注連縄を潜って神域に入ると後は撮影禁止。9時15分入山、無事に登拝を終える。今日は予想通り登拝者が多く、下山の時には20人を越す団体を始め続々と登ってくる人に出会った。11時に下山。 襷を返すと、神官から「お山で見たことは決して口外しないように」と厳しい顔で言われた。何度も来ているが、こんなに真剣に言われたのは初めてだった。
狭井のご神水を頂いて喉を潤し、山辺の道を横切って大美和ノ杜へ。池畔の育成地のササユリは、今年は期待に反しポツポツ咲いているだけだった。展望台から三輪山を振り仰ぎ、大和平野に浮かぶ大和三山や金剛山地の眺めを楽しんだ。
今度は上の道から祈祷殿前に帰り、ささゆり園に入る。大神神社の摂社・率川(いさかわ)神社で毎年6月17日に行われる三枝祭(さいぐさまつり)は別名を「ゆりまつり」と呼ばれる。この神事は、文武天皇の大宝元年(701)制定の「大宝令」に既に国家の祭祀として規定されている。率川神社の祭神ヒメタタライスズヒメノミコトが三輪山麓の狭井で育ったことから、当時そこに咲いていたササユリの花でお供えの酒樽を飾る習わしが今も続いている。
近年になって大神神社周辺にササユリを再生する試みが行われ、現在では約2000本といわれるササユリが生育されている。
16日の奉献神事を前に、今年はちょうど満開の時期に来ることができた。
ゆっくりと周回路を巡って、今日の三輪山登拝を終える。