ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

こんな本を読みました(2011.05.30)

2011-05-30 14:56:01 | 読書日記
 変愚院の生まれは大阪市住吉区(現東住吉区)の田辺で、家は小学校のすぐ西側で卸業も兼ねた
文房具屋を営み「紙屋」と呼ばれていました。
 この小学校(私の入学した年から大阪市田邉国民学校に改名)の校章が大根の双葉をデザインした
もので「町の中でなんで大根や」と不思議に思って父に聞くと「田辺は昔は大根畑が多かったんや」
と教えられたことを思い出します。事実、その(1940年)頃には、現在の民家の密集している近鉄
大阪線東側にはまだ青々とした畑地が残っていたのです。
田辺という地名は京都府京田辺市、和歌山県田辺市などがありますが、京都の場合は田辺氏の支配
する土地であったため、また和歌山の場合はその地に館があり、その館に積み置く「稲を作れる田部
(たのべ)なるべし」と地誌にあるそうです(Wikipedeia,日本辞典などより)。
 この本には「田辺」の地名の由来は記されていませんが、コラム「大阪の伝統野菜」の中に田辺大
根が紹介されていて、小学4年生まで過ごした生まれ故郷を懐かしく思い出しました。


若一光司著 KKベストセラーズ 「ベスト新書」2008年9月刊

 11章からなる本書は、第1章の「難波から大坂、そして大阪へ」から始まり、大阪の四季のにぎ
わいを訪ねて、大阪の食道楽も市場のおかげ、商都の歴史を語る問屋街、時代のメロディーで口ずさ
まれた大阪、「八百八橋」の多くが町橋だった、大阪の近代化を象徴する洋風建築、大阪の熊野街道
を歩く、あの人の墓碑を訪ねて寺めぐり、交野が原に刻まれた七夕伝説の謎、文学に描かれた大阪の
人と風土…とさまざまな角度から大阪の地名に由来に迫ります。

 各章の終わりにおかれたコラム「大阪生まれの食べもの」で、モミジの天ぷら、ホルモン焼き、
船場汁、串かつ、うどんすき、たこやき、チキンラーメン…といかにも大阪生まれと思うものが並ぶ
中に、鴨南蛮や「しゃぶしゃぶ」が紹介されていたのは、どちらも全国版の食べ物と思っていただけ
にちょっと意外な驚きでした。
 
 本書には大阪を離れて北河内、池田、そしてまた北河内へと現住の大和郡山に落ち着くまで大阪で
青春の多感な時を過ごし、定年まで天王寺区の職場に通った変愚院にも、堺で生まれ育ち結婚まで中
央区にある会社勤めをしていた♀ペンにとっても懐かしい場所が続々と登場します。随所にこれまで
知らなかった数々の大阪のエピソードがちりばめられていて、最後まで楽しく読めました。

 なおこの本で興味を持って調べてみると、「田邊」の地名はこの地に田辺氏が祖先の天穂日命を祀
った田辺神社(現・山坂神社、氏神様でした)があったことが由来のようです。田辺氏はもともと西
国から移住した渡来系氏族で、現在の柏原市を中心に勢力を広げた一族といわれています。