ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

竜王山(天理)

2010-10-20 09:30:16 | 山日記
昨(19)日、天理の竜王山に登りました。近くにあるので毎年、何度かは登る山ですが
昨年ヒザを痛めてからは初めてになります。



長岳寺の駐車場に車を置かせてもらい、山門をくぐります。
長岳寺は「釜口(かまのくち)の御大師さん」と呼ばれ、弘法大師の霊地として親しま
れてきたお寺です。

長岳寺については、昨年秋のこのBLOGに投稿していますので、ご覧ください。



参道途中から左に折れて柿畑の中を登ります。いつもは目の下に大和平野ののどかな
風景が拡がってくるのですが、きょうは曇り空で展望はありません。



切り通しのようなところから山道が始まります。急坂や緩やかな登りの道を45分ほど
登ると、不動明王を刻んだ石仏があります。ここを、ほぼ山頂までの中間地点の目安
にしていますが、以前よりはお不動さんが、だんだん上へ移られるような気がします。
若い時は「ここが登り口」くらいの感覚だったのが、加齢とともに「まだか、まだか」
と思うようになったのでしょう。「来るたんび(度)にそんなことゆう(言っ)てる」
と♀ペンに笑われましたが、時計を見るとガイドブックの標準時間と同じくらいです。



ここからは少し緩やかな登りになり、快調に進みます。長岳寺奥の院への道を右に分け
ると、やや長い階段道が続き、天理ダムからくる車道に飛び出します。左に行くと北城、
右は三角点のある南城址です。また、すぐ横に帰りに使う、古墳群を通る道があります。



竜王山の名は、各地に多い同名の山と同じように、雨乞いのための龍神信仰に基づいて
います。頂上近くには、それぞれの登り口の地名を冠した「藤井竜王社」と「柳本竜王社」
があります。これは車道を南城に向かってすぐの場所の(藤井)田竜王社です。



車道と別れ、ちょっと長い階段を上がると南城跡の最高点に着きます。
この山は奈良盆地と大和高原を扼する要衝にあり、天文年間に土地の豪族・十市遠忠が
山城を築きましたが、永禄11年(1568)、松永久秀に攻められ落城しました。
その南城跡にある三角点付近は公園風に整備されています。

晴れていれば変愚院の後ろに、大和平野を見下ろし金剛、葛城、生駒の山並みを望めるの
ですが、今日は一面にぼんやりと霞み、僅かに葛城や二上山の在り処が分る程度でした。
先におられた5人の方と同じように、ベンチでお弁当を食べました。



じっとしていると汗が引いて寒いくらいですので、食事を済ませて早々に下山します。
帰りは山頂下の階段道途中で左の林の中へ折れると「柳本竜王社」にでます。
昨年来、整備されたようで新しい社殿に変わっていました。



少し先で見たコウヤボウキの花。



いったん車道に出て、すぐ竜王山古墳群を通る道に入ります。何度も降りた道で荒れて
いるのは承知していましたが、なんと初めから急な階段道の連続に変わっていました。
痛めているヒザや腰のことを考えると、♀ペンの忠告したように元の道を帰った方が
良かったかもしれません。先ほど山頂にいた人たちは、どうやらそうしたようです。



急な階段とガラガラの岩石道を1時間近く頑張って「竜王山古墳群」の標識のある
ところにでました。このような円墳や、横穴墳がそれぞれ300基、杉林の中に埋もれて
います。手前に見えるのは四体のお地蔵さんが彫られた石仏。かなり摩耗してお顔が
よく分かりません。



ここからは道は嘘のように歩きやすくなりました。細い流れに沿うようになり、その
流れが次第に広くなって新しい砂防堤防などが造られています。振り返ると双耳峰の
巻向山が見えました。

やがて「山の辺の道」に出ました。
ここまでの帰りの山道ではだれにも出会わず淋しいほどでしたが、ここにくると何人
ものハイカーが、北から南から行き来しています。



右手前方に櫛山古墳、左に崇神天皇陵のお濠が見え、ちいさな公園風になっています。
前に作者不詳の歌碑がありました。
「玉かぎる夕さり来ればさつ人の弓月が岳に霞たなびく」
この「弓月が嶽」は竜王山の南にある「巻向山」に比定されています。

竜王山は、万葉歌で柿本人麻呂が詠んだ、「衾道(ふすまじ)を引手(ひきで)の山に
妹(いも)を置きて 山路をいけば 生けりともなし」の「引手の山」のことで、この
歌碑(犬養養 書)は長岳寺の北東400mのところにあります。

コーヒーを飲んでしばらく休み、古墳の前の池(泥池)と御陵の間の「山の辺の道」
を北へ長岳寺に帰りました。いつも通り、あまり休憩せずに、ゆっくりノンビリ山を
楽しんで歩いた半日でした。


(竜王山。建物は長岳寺に隣接する天理市トレイルセンター。2008年2月撮影)

<コースタイム> 
長岳寺10:05…不動明王石仏10:50…田竜王社11:27…竜王山山頂11:40~12:05…
竜王山古墳群13:00…山辺の道に出る13:30~13:40…長岳寺13:50