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文楽のコスパ。

2017-04-17 21:21:09 | 芸能いろいろ
先日、人生三度目の文楽鑑賞に出かけてきた。

英太夫改め六代豊竹呂太夫の襲名披露公演。

この呂太夫さんという方はすごい方で

趣味が素人に義太夫を教えること、だそうで。

上方の噺家さんたちも、数人その弟子筋に連なり

熱くお優しい、そのお人柄がうかがえる。






実はこれまで文楽を一度も面白い(笑い、という意味ではない)と

思ったことがなかった。

そして橋下さんが市長となって

羽織袴姿の文楽協会の人々と対峙したあの場面は

少々嫌悪感を覚えたのも事実だ。


……… だけど。


今回、実はとても感動した。

難しかったはずの義太夫節が、すっすっと耳に入ってくる。

そして物語に感情移入し、感動し、

スルリと交代する義太夫さん毎の個性を楽しんだ。


なぜだ?

お弟子さんの一人につねづね

その魅力をレクチャーしてもらっているからか?

何か血迷って

立派な見臺なんぞ買ってしまったからか?

不思議な思いにとらわれながら

終演後、お弟子さんの計らいでバックヤードツアーに参加。





舞台裏で人形を片手に、解説してくださる方がいた。

文楽という芸能についてとても分かりやすく解説してくださり

人形一体に人形使い三人。そして義太夫と三味線。

どれほどの人間が関わっているかについても、

大変非効率な芸能である、と至極的を得た言葉で。

なるほど、と思って聞いていると

最後にこう言った。

「文楽は一度見てわかる芸ではありません。
二度、三度と見て、その意味や価値が分かるのです。
だから、どうぞまたのご観劇を……」

ハッとした。

わたし、三度目だ。

やはり文楽を語るなら、三度は見なければならないのだ。

そして決して文楽の入場料をケチってはいけない。

演る方の非効率は、

観る方にとってはコストパフォーマンスの高さに違いないのだから。





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古民家 de 茶会&落語会。

2016-06-24 17:55:00 | 芸能いろいろ

いやはや。

ある日突然、
茶の師匠が古民家を借りて茶会と落語会がしたいと言い出した。
どうやら本気らしく
落語家の手配から請け負うことになった。

客は総勢33名。
落語家さんは知り合いのツテで米朝一門の若手の方が来てくれた。
若いが難しい古典もこなす実力派で
こちらの噺のリクエストにも答えてくれた(合掌)



そして四席ほど茶席も設けることに。

いろいろうようよ曲折あったものの
当日まで一切打合せらしい打合せをすることなく
ほぼぶっつけ本番で
会は始まった。



なんとかかんとか
終えた後、
師匠と主催者と私の3人で
へたりこみたいところだったが
4時には退去せねばならぬということで

怒濤の
一日が終わった。

「う〜ん。なんとかできたね!?」と
充実感あふれる師匠の顔を見ていたら
やればできるんだな、と感じ入った弟子2号であった。

きっと次もあることだろう。
さあ、今度は誰を呼ぼうかしら! 笑




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活弁とやらにハマる。

2016-06-11 12:58:24 | 芸能いろいろ
かつて活弁などと言ってもピンと来なかったのだが

坂本頼光さんという若いがとても魅力的な活弁士さんの舞台を見て

すっかり活弁にハマってしまった。

芸能にはとかく人から入りがちなもので。


そうそう、前々回にアップした「磯部磯兵衛物語」も

彼がナレーターを務めることから馳せ参じたようなものだ。

先週末、マニアックな某ディレクターと共に

大阪のとある小バコで行われた、彼のライブに行った。

そして当日。

内容はSNSに上げるな(笑)ということで

秘密だけんども

彼は天才だ!

活動写真のファン、というよりも

彼が語る活動写真にハマったというほうが近い。

これまたマニアックな人たちが集う会で

良きご縁も数々いただいた。

これからも追いかけよう!

そしていつか自分でも頼光さんの会がしたい! (真剣)

それよか来週の初めての落語会です。

茶の湯と落語をドッキングさせたユニークな試み、

果たして無事に開催できるのか。

続きはまた来週 (笑)






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『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』が、面白過ぎた。

2016-04-27 19:33:32 | 芸能いろいろ

イケメン総出演、絶対に行ってソンはさせないと
口説かれて(?)行った
関西の劇団Patch の舞台 『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』


これが面白過ぎた。

ここんところ
おっさんが舞台でひとり喋ってるのばっかり
行っていたせいか(落語のことね)

若者のキラキラの舞台に
どんなにネタが滑っても顔がほころび続けた。
(もちろんネタが滑っても
 保険の保険があるのが大阪の劇団ならではだ)

演出家とか小劇場系とか
一緒に行った友人たちもそれぞれに見どころアリアリだった様子で
もうみんな大喜び!

確かに行ってソンはなかった (笑)
もっとたくさん連れていけばよかった!

最後に写真撮影OKタイムがあったのだが
あそこは別に
「筋肉ええじゃないか」じゃなくてもええじゃないか! (笑)
※ ↑ youtubeでなんと楽しめますw

会場の客層がこれまで見たことのないような人たち。

.....毎日のように来る女子さえいそうな雰囲気。

そんな女子を喜ばせようとしてのセレクトなんだろうか?

まあフケ専のわたしは、
最後にテーマソングがもう一度見たかったけどwww

劇団Patchさん、再演求む!!!

ワッショーイ ♪



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吉坊ノ会 @ 近鉄アート館

2014-12-12 17:53:47 | 芸能いろいろ
ここのところご無沙汰だった「吉坊ノ会」。

というのも、最近この会は
チケットが取れないことが多いからである!

ラッキーなことにとてもよい席をゲット。

連客には落語通・芸能通が揃い
会場前に集った面子は、まるで熟年合コン(笑)

久しぶりの吉坊さんの声に驚き。
落ち着きと渋みを激しく増し
シュッとした男前になっている。
(落ち着きは前からあり過ぎるくらいあったけど)


◎ 「代脈」  桂佐ん吉
◎ 「不動坊」  桂吉坊
◎ ジャグリング  渡辺あきら
◎「井戸の茶碗」  吉坊


「井戸の茶碗」は、
実力のある噺家でないとできない噺。
しみじみ聴かされ、
席を立つ前にしばし感無量になった。

ちょっと途中から急いだ感もあったけれど
米朝一門の、
吉朝門下の、
正統派として彼のこれからに期待せずにはいられない。

素晴らしい会でした

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維新派 「透視図」 @中之島GATE サウスピア

2014-10-18 19:47:45 | 芸能いろいろ
これぞ大阪よなぁ、という舞台だったかな。

維新派の新作 「透視図」。

今回の舞台は、

阿波座から歩いて15分くらいの川べりの特設会場。

すごく近所。



いい感じのばらっく。


まだ舞台は続いているので、安易なネタバレ?は避けたいが

今回はキセキが起こることなく冷静に見れたぶん

やっぱりツボるな~ と安心した維新派の舞台、である。

ツボは 「がたろ」、「時報」に「ピクト」、「つるはし」の4つ。

とにかく維新派の舞台を語ることは難しい。

感じるもの、だからだ。


今回はその4つのツボからジンジン来て

大阪に流れついて、大阪に生きて、

大阪できっと死ぬ。

そんな自分にもなかなかに痛い舞台であったな。

パンフにあった松本さんの言葉。

  「最近の大阪の人は

  メディアが作った大阪像を引き受け過ぎてて

  面白くなくなった」

その通りだと感じる。

もっと大阪は深いし、怖い。

夜風に吹かれながら酒を飲む。

相変わらず大好きな女優さんはクールで

相変わらず屋台村はピースフルだ。


MAN ON WIRE もやってたよ。





今日ふと思い出して

以前先輩からもらった印判の湯呑を取り出した。

大阪商船會社、って書いてある。

旗には大阪商船のマーク。

水都大阪のかつての象徴やん。

きっと今回の舞台の主人公の祖父は

その旗を眺めて日々過ごしていたんだろう。






大阪商船。

1884年、明治17年から

瀬戸内を行き交う60余りの船問屋を統合して設立された。

いまは商船三井となって、日本海運のまさに雄。

主人公が生きた時代に、この茶碗も生まれたのだな。

高台ちょっとカケてるけど、よい品です。

勉強になりました、

ありがとう!

MOL!じゃなかったMOLILLIN!



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第二十一回 船場今橋 大美落語会 @ 大阪美術倶楽部

2014-09-12 21:36:38 | 芸能いろいろ

回を重ねて
なんと二十一回。
寄席形式にこだわる、という主宰者の方々の
努力と熱意には
頭が下がる。
そして元鴻池邸、という
素晴らしい舞台に
改めて敬意を表する。

楽珍さんが終わったあと
金屏風につまづいていたけど
傷が入らなかったかな~ と心配。

高いで、アレ。(笑


 ◎森乃石松「まんじゅう怖い」
  初見の石松さん。
  つかみは激ヤセネタ。
  意外とハンサム。


 ◎桂あさ吉「鯛」
  文枝師匠から稽古をつけってもらったという新作「鯛」。
  その背景をマクラに、そしてクスグリに。
  大笑w
ただ上方落語界きっての優男(!)
  あさ吉さんのニンに合うかどうか、というのは微妙。


 ◎笑福亭竹林「子は鎹」
  相変わらずのマクラの面白さは健在。
  自虐も遠慮なく笑える
  彼のキャラはやっぱり秀逸。
  相変わらずカミまくっておられたが
  ニンに合ったよい一席でした。

 ◎桂 楽珍「蒟蒻問答」
  面白いお噂を耳にはしたものの
  舞台は、初見。
  インパクトある風貌でオーバーアクション!
  まさに芸の時満ちる実力派。
  自分のミーハーさを反省したくなるほど感動。
  
 ◎桂 南光「火焔太鼓」
  大御所になると
  美術倶楽部でもあんなセリフがさらっと言えて
  許される。
  噺にも魅せられたが
  こんな芸風だったっけ? と思うところもしばしば。
  一緒に行っていた彼女は
  こんなオチだったっけ? と思ったらしいけど。

次回は年明けて1月。
いよいよ文枝師匠のお出ましです。

いらっしゃ~い!



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お帰りなさい、仁左衛門さん。

2014-08-08 18:16:42 | 芸能いろいろ
右肩腱板断裂の手術から六月の歌舞伎座で復帰したばかり。

そんな仁左衛門の

復帰後初の大阪松竹座公演に行って来た。

仁左衛門さんの熱烈ファンの友人が
“ 明るい仁左衛門さんが見たい!” とのことで
夜の部へ。

「身替座禅」という狂言由来の松羽目もの。
翫雀さんの玉ノ井は強烈であった。
でも、いるいる。まじいる。あんな強烈な嫉妬深いおばさん。

そんなことを思っていたら
もうひとつも
強烈に嫉妬深いおばさんの話で驚いた。
円朝の怪談噺「真景累ヶ淵」から豊志賀の死。

夏は怪談というが
何より怖いのはやっぱり女、ということか。




そうそう、
「沼津」の藤十郎さんが、めっちゃよかった。
初めて国宝の良さが分かりました。
今頃、すみません。

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歌舞伎座、初体験。

2014-08-07 16:01:23 | 芸能いろいろ

ことしの七月大歌舞伎にして

建替え後、初めての歌舞伎座。

どーん




どどーん




でも見たのは海老蔵さんではなく
夜の部の中車さん。

右近さんがやたら濃かった「悪太郎」、
岡本綺堂作の一種の怪談噺「修善寺物語」、
玉三郎さんの真骨頂、「天守物語」。

いわゆる新歌舞伎という比較的新しい、芝居っぽい歌舞伎を堪能。

市川中車という歌舞伎役者は
言わずと知れた、香川照之さん。
小和田常務でしたっけ。

とにかくあれほどの役者でありながら
歌舞伎となると
そのフォーマットにイマイチ乗れてない感が否めなかったのですが

新歌舞伎となると、ええねぇ~ 中車ここにあり!って感じ。
特に「修善寺物語」なんて
これから彼の十八番になるだろう繊細かつ迫力の芸。

新歌舞伎があってよかったねぇ、中車さん。
やっぱりすごい役者です。

「天守物語」は、
姫路城を舞台にした天空のファンタジー。
好き嫌いは分かれる作品だろうが、わたしは玉三郎さんは
こんな “オトナ可愛い ”役 が断然イイと思う

外観は変わらないようでも
やはり、ちょっと洗練されてしまった感じがする歌舞伎座。




メタルのカレーと共に
もうここで勘三郎さんの
コクのある、あの芸が味わえないのがしみじみ哀しい。

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立川志の輔独演会 2014 @京都芸術劇場 春秋座

2014-06-09 10:16:54 | 芸能いろいろ
蒸し暑さの極まる五月末日、京都。

恒例の志の輔さんの春秋座公演を見て来た。

さすがに着物姿は少ない。

カットソー1枚でも汗だくのわたしは

ただただ、尊敬の念で風情ある夏帯の後ろ姿を見つめる。


今年も演目は事前告知なし。

いい意味で裏切られることを期待して。


◎志の太郎「寄合酒」
◎志の輔「親の顔」
◎志の輔「帯久」


ご一緒した先輩は
新作「親の顔」が大好きだという。
確かにオレンジジュースのくだりがわたしも大好き。

賢いとはどういうことか、
と昨今の教育制度にも一石を投じる名作である 笑

志の輔さんの新作なら、わたしは何が好きかな~と考えて
「メルシーひな祭り」と答える。
あのひたすらに、ピースフルな世界がたまらなく好きなのだ。

今回の大ネタは「帯久」。
大岡裁きの名作のひとつだが
どうもわたしは大岡裁きは飛び道具過ぎるような気がして、
あまり好きではなかった。
上方ならもっとコンパクトにまとめる噺だそうだが
志の輔劇場は長い、長い。

だけど、あっと言う間。これが、力。

舞台と会話と料理と酒と。
夢のような余韻をのなかで、
ひさびさに
時間を忘れた京都の夜であった。
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