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■科学技術ニュース■情報通信研究機構など、「酸化ガリウムMOSトランジスタ」を世界で初めて開発

2013-06-20 10:31:47 |    電気・電子工学

 情報通信研究機構は、タムラ製作所、光波と共同で、新しいワイドギャップ半導体材料である酸化ガリウム(Ga2O3)を用いた実用性に優れたMOSトランジスタの開発に世界に先駆けて成功した。

 現在、世界的な課題として革新的な省電力技術の開発が求められています。このような社会事情から、現状のシリコン(Si) よりも更に高耐圧・低損失なパワーデバイスの実現が期待できるSiC、GaNといったワイドギャップ半導体材料が注目され、日本はもとより米国、欧州といった諸外国においても活発に研究開発が進められている。

 Ga2O3は、SiC、GaNよりも更に大きなバンドギャップに代表されるその物性から、パワーデバイスに応用した場合、より一層の高耐圧・低損失なデバイス特性が期待できる。また、融液成長法により簡便に単結晶基板が作製可能であるという、実際に基板を作製する上で非常に有益な特徴もある。しかし、これらの高いポテンシャルにもかかわらず、未開拓の新半導体材料であった。
 
 今回開発したGa2O3 MOSトランジスタは、そのまま実用可能といえる構造、特性を有する。そのため、現代の省エネルギー問題に直接貢献することができる新しい半導体デバイス研究開発分野における大きなブレークスルーであると同時に、近い将来の半導体産業の更なる発展につながることを期待させる成果。

 今回、新ワイドギャップ半導体材料であるGa2O3を用いたMOSトランジスタの開発に成功したことにより、この新しい半導体材料の利用価値は大幅に膨らみ、また次世代高性能パワーデバイスの近い将来の実用化に対して道筋をつけることができた。今後、その優れた物性を生かしたGa2O3デバイスに関する研究開発が、世界的に急速かつ本格的に広がると予想される。


 


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