海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋機能利用部門生物地球化学センターの石川尚人副主任研究員らは、人新世において減少し続ける生物多様性と、複雑な食物網構造との関係が、統合的栄養位置(integrated Trophic Position: iTP)という、シンプルな指標によって明らかにできることを発見した。
食物網の中で、ある生物が占める生態学的な位置を栄養位置(Trophic Position: TP)という。たとえば、植物プランクトンなどの一次生産者はTP = 1、それを食べる動物プランクトンはTP = 2、それを食べる小さな魚はTP = 3、それを食べる大きな魚はTP = 4、というように、だんだん数字が上がっていく。一方、生物の量(バイオマス)は、TPが増えるにつれて減っていくため、バイオマスの分布は上に凸のピラミッドで表されることが多い。これを「生態ピラミッド」という。統合的栄養位置(iTP)は、生態ピラミッドを構成するすべての生物とそのバイオマスを統合して得られる、加重平均の栄養位置である。
持続可能な地球生態系を設計するためには、生物多様性と食物網(誰が誰に食べられるかをつないだネットワーク)との関係を明らかにすることが必要不可欠。
食物網の中で、ある生物が占める生態学的な位置を栄養位置(Trophic Position: TP)という。たとえば、植物プランクトンなどの一次生産者はTP = 1、それを食べる動物プランクトンはTP = 2、それを食べる小さな魚はTP = 3、それを食べる大きな魚はTP = 4、というように、だんだん数字が上がっていく。一方、生物の量(バイオマス)は、TPが増えるにつれて減っていくため、バイオマスの分布は上に凸のピラミッドで表されることが多い。これを「生態ピラミッド」という。統合的栄養位置(iTP)は、生態ピラミッドを構成するすべての生物とそのバイオマスを統合して得られる、加重平均の栄養位置である。
持続可能な地球生態系を設計するためには、生物多様性と食物網(誰が誰に食べられるかをつないだネットワーク)との関係を明らかにすることが必要不可欠。
JAMSTECは、アミノ酸の窒素同位体比を用いて生物の栄養位置(Trophic Position: TP)を推定する手法を開発し、様々な成果を上げてきた。しかし、生物多様性と食物網を統合的にとらえることは難しく、これまで適切な指標はなかった。
そこで同研究では、近年我々が提唱した統合的栄養位置(iTP)をその指標とすることが可能かどうか、世界中の海洋・陸水生態系の解析から検討した。
その結果、動物プランクトンなどの一次消費者から、シャチのようなトッププレデターまで、食物連鎖を通じて生物の量(バイオマス)は目減りしていくことがわかった。
この減り方が急峻な場合、食物連鎖の縦方向の多様性(Dv)とiTPは低い値を示し、生態ピラミッドは横長の「富士山」のような形になった。一方、減り方が緩やかな場合、DvとiTPは高い値を示し、生態ピラミッドは縦長の「東京タワー」のようなった。
同研究から、iTP が生物多様性と食物網構造をつなぐ新指標となることが示された。
iTPは、アミノ酸の窒素同位体比から推定できることがすでにわかっている。今後、iTPを用いた革新的な観測から、いろいろな生態系でピラミッドの効率性や安定性を明らかにできると考えられる。そこから得られる成果は、食糧生産・水産資源・エネルギーといった諸問題に対して、きわめて重要な示唆を与えるものと期待される。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)>
そこで同研究では、近年我々が提唱した統合的栄養位置(iTP)をその指標とすることが可能かどうか、世界中の海洋・陸水生態系の解析から検討した。
その結果、動物プランクトンなどの一次消費者から、シャチのようなトッププレデターまで、食物連鎖を通じて生物の量(バイオマス)は目減りしていくことがわかった。
この減り方が急峻な場合、食物連鎖の縦方向の多様性(Dv)とiTPは低い値を示し、生態ピラミッドは横長の「富士山」のような形になった。一方、減り方が緩やかな場合、DvとiTPは高い値を示し、生態ピラミッドは縦長の「東京タワー」のようなった。
同研究から、iTP が生物多様性と食物網構造をつなぐ新指標となることが示された。
iTPは、アミノ酸の窒素同位体比から推定できることがすでにわかっている。今後、iTPを用いた革新的な観測から、いろいろな生態系でピラミッドの効率性や安定性を明らかにできると考えられる。そこから得られる成果は、食糧生産・水産資源・エネルギーといった諸問題に対して、きわめて重要な示唆を与えるものと期待される。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)>