東邦大学、東北大学、海洋研究開発機構、千葉工業大学は、米テキサス大学オースティン校と共同研究を行い、白亜紀末の巨大衝突クレーターの形成後ごく短期間で生命圏が復活したことを発見した。
約6600 万年前の白亜紀末、直径約10km の小天体がメキシコ・ユカタン半島の北部沖に衝突し、環境が大激変して、恐竜を含む生物(当時の約76%)が大絶滅した。
衝突時に形成された直径約200km のクレーター内部、つまり爆心地での生命圏の復活のシナリオを描くため、国際深海科学掘削計画(IODP)の第364次研究航海による掘削が2016年に行われ、全長800mの柱状試料が採取された。
白亜紀からの移行期を含む約1m長の堆積岩に焦点をあてて、微化石・生痕化石・化学分析を組み合わせた詳細な研究を行った。
その結果、クレーター内では衝突後2〜3年以内という想定外の極短期間で生物が復活し、少なくとも3万年以内には生態系が繁栄していたことを突き止めた。
同研究において、天体衝突後の生命の復活シナリオを描くことができた。大量絶滅直後の生態系の復活は、そのタイミングや種の構成の両方において、予測が全く不可能な過程である、とも言える。同研究は、地球の歴史の中で幾度も生じた生物の大量絶滅の後の海洋生態系の復活に関して、重要な示唆を持つ。