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●科学技術ニュース●早稲田大学とJAXA、テラヘルツ帯に対応した無線通信システムを試作し95GHz帯を用いた長距離・大容量伝送に成功  

2025-03-19 09:53:57 |    通信工学
 早稲田大学 理工学術院の川西 哲也教授の研究グループと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究開発部門センサ研究グループらは、テラヘルツ帯に対応した無線通信システムを試作し、4.4kmの距離で、大容量伝送を可能とする伝送速度4Gbpsの通信を実現した。

 従来、94GHzを用いた距離2.5kmの通信および120GHz帯を用いた距離5.8kmの通信が報告されていたが、今回の実験では、95GHz帯を利用した1Gbps以上の伝送容量の通信において、4kmを超える世界トップレベルの通信距離を実証した。

 次世代移動通信システムBeyond5G/6Gシステムにおいては、非地上系ネットワーク(NTN)の大容量通信を行うフィーダーリンクの一部を、テラヘルツ帯を用いた高速通信が担うことが期待されている。

 これまで、上空との通信にはXバンド(8GHz帯)やKaバンド(26GHz~40GHz)が利用されてきたが、利用可能な周波数の帯域幅が限定されているため、伝送速度は数百Mbpsから数Gbpsが限界となっている。

 今回、同研究グループは、高度20km程度以下の高高度プラットフォームシステム(HAPS:High Altitude Platform Station)や航空機に対するフィーダーリンクにおいて、テラヘルツ波を含む高い周波数帯の利用による伝送速度の向上を検討している。

 具体的には、92GHz~94GHz、95GHz~100GHz、および102GHz~104GHzの周波数帯に対して、広帯域の複数チャンネルを活用することで、20Gbps以上の大容量通信を実現できる。

 同研究においては、92GHzから104GHzのテラヘルツ領域までに対応するアンテナ、送信機および受信機を試作した。

 長距離通信を担う高利得アンテナサブシステムとしては、上空の飛行体に搭載可能な小型軽量の0.3m径カセグレンアンテナと、地上局用の1.2m径カセグレンアンテナを開発し、最大出力を1Wとして設計した送信機と組み合わせた。

 今回は、周波数帯を95.375GHz~96.625GHz(中心周波数96GHz)に限定し、送信機の空中線電力は15mW(特定実験試験局で許可される範囲内の等価等方放射電力(EIRP)に対応)に設定して伝送実験を実施した。

 実験では、6階建ビルの屋上(東京都小金井市)からスカイタワー西東京(東京都西東京市)までの4.4kmの距離に対して、帯域幅1.25GHzを使用したシンボルレート1Gシンボル/秒の条件で、変調方式QPSK(伝送速度2Gbps) および16QAM(4Gbps)を用いた伝送を確認した。

 今後は、空中線電力1Wの送信機の試作などにより、伝送距離20kmおよび伝送速度20Gbpsの通信機能を実現するとともに、HAPSや航空機向けのフィーダーリンクに必要な飛行体へのアンテナ追尾技術の試作と改良を行う。

 将来的には、通信の大容量化により、地上で使用されているネットワーク回線(LAN)レベルの高速通信を上空まで延伸させることが可能になり、大規模災害時の広域通信基地局、山間部や離島への高解像度の映像の伝送など、上空の通信網を使った多様なサービスの創出が期待される。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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